The Pleasure Becomes Its Opposite
男は彼を膝の上に載せたまま、箱の中からさらに何かを取り上げた。
ジャックの目には入らなかったが、それは繊細な細工の施された、細身の銀製の容器だった。
小さな瓶の口から、馥郁たる花の香りが立ちのぼった。男が容器を傾け、
その香りに意識を
「冷たいのか?」主人の声。
「気にすることはない、すぐに熱くなる」
その言葉のとおりだった。
潤滑油を、さらに奥まった場所に塗り込めるように、細く長い指が尻たぶをそっと押し開く。先刻まであれだけ冷酷無比にその場所を打ち据えていたのと同じ手とは思えないやさしさで。
すぼまった箇所をくすぐるように撫でられ、彼はそれだけで――はしたないと叱責されるかもしれないのを覚悟の上で――体を支える必要以上に、誘うように脚を広げた。太腿の内側にオイルが滴る、そのわずかな刺激にさえ飢えた体は敏感に反応してしまい、緊張した筋肉がぴくりと引き攣る。
まるで処女を相手にしているかのような慎重さで、オイルに濡れたなめらかな指が
これまで誰もこんなふうに、やさしくも淫らに彼に触れたことはなかった。声でも、それ以外の方法でも。
お前の望むことを、と“ご主人様”は言った。
もっとしてほしい――もっと深くまで、と口走りそうになり、片手の指の背を噛んでこらえる。「いい子」はそんな浅ましいおねだりはしない。
ほっそりした指が二本、三本と増やされると――不思議なことに、圧迫感はあるものの、本来の目的以外にはしばらく使用していなかった場所をこじ開けられるときの痛みはほとんど感じなかった――欲望と同じくらい底がない
「お前の
しかし、口淫のときと同じく、その
“ご主人様”は遠慮会釈もなく、重量級の物体を彼の狭い通路に、肉も裂けよとばかりに突っ込んだ。
空気が一気に肺から押し出され、無様な呻きが部屋の静寂を破る。
思わず逃れようとしたが、調教師が荒馬を乗りこなそうとするときのように、シャツの襟首と後ろ髪を男の手に掴まれていた。柔和な見かけからは思いもよらない力強さで。
膝の上にピンで留めた獲物を、“ご主人様”は思うさまいたぶった。
突進してきたときと同じだけの勢いでそれが引き抜かれるときの感覚といったら、内臓まで一緒に持っていかれるのかと思うほどだった。
抗議の声などあげる暇もなかった。派手でみだらな水音が自身のうめきより先にジャックの耳を打った。それからさも愉快そうに笑う男の声も。
ふたたび剛直が捩じ込まれる。
血の通った熱い肉ではない、硬く冷たい物体に胎内を掻き回される感触はひどいものだった。脳天まで犯されているようで、肺の空気と一緒に棒の先端が口から出るかと思うほどだ。やわらかな腸壁が小突かれ、引っぱられ、思ってもみない方向に押されて引き延ばされる間じゅう、ジャックの、下同様に締りの悪くなった唇からは、涎と悲鳴が流れた。
彼はぶ厚い
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