第30話
「蓬莱さーん、お客さん来てますよー!」
「はーい!じゃあこっちの修理よろしくな」
「はい!」
あのあと俺たちは恋人になってお互い勉強や仕事も順調に進んでいる。
それに
「蓬莱さーん!」
俺を呼ぶ愛おしい声がするほうへ走るとそこには桜がいた。
「また来たの?」
「差し入れです!よかったらどうぞ!!」
と差し出されたのは桜の手作りのお弁当。桜はあの日から俺の健康状態に気づき、短い時間でも食べやすいものや栄養価のいいものを作ってくれる。
「いつもありがとうな」
と俺が桜の頭を撫でると桜は顔を赤らめた。
「ん?桜、顔赤いよ?」
俺はいじわるに桜の顔をのぞきこむと桜は顔を慌てて隠して
「見ないでください!!」
と言う。そんな桜も可愛く見えてしまうのはきっと恋のせいだろう。俺は桜をギュッと抱きしめる。
「あー……幸せ……」
桜からはシャンプーのいい匂いがした。桜は俺の腕の中でニコニコしていた。
「あー!!そこイチャイチャしないでくださーい!!」
と俺の後輩がからかいながら冷やかしてきて俺は急いで桜を離した。
「私これから部活に行ってきますね」
「あぁ、ありがたくいただきます!」
「うふふ、じゃあいってきます!!」
俺は桜の背中が見えなくなるまで桜を目線で追いかけた。
人を愛おしくなるなんて俺にとっては初めてだった。
「蓬莱さん……ニヤケてますよ!」
と後輩が笑う。
「あー仕事これも任せようかな……?」
「ぎゃー!!蓬莱さんの鬼ー!!」
お弁当を開くと2段弁当になっていて1段目に俺の好きな桜の家の特製煮込みハンバーグときんぴらごぼうにタコさんウィンナー、野菜などが色とりどり入っている。2段目に可愛い顔をしたおむすびが2つ。
「本当にやることが可愛いんだから……」
俺は桜の弁当をしばらく食べることなく鑑賞していた。
俺は桜と出会って付き合ってから幸せな日々を送った。しかしお互い仕事や大学もあり忙しくほとんど一緒にいることができなかったが、一緒にいる時間をお互いに大切にした。
1年後
「ラ〜ラ〜ラーにーじがにじが……」
桜が歌いながら料理をしていて俺はそんな桜を見ていた。俺たちはしばらく桜の借りているアパートで同棲をはじめた。毎日桜に会うため俺はこんなに幸せでいいのかっていうくらい幸せだった。
「きーっとあしたはーいーいてんき!」
と歌いながらテーブルにごはんを並べていく桜はご機嫌だ。
「今日はね、野菜が安く買えたんです!!それにビールも……!」
こんな些細なことを幸せと感じる桜に俺はまた改心させられた。
桜はよく言う
「今より幸せになるためには今よりもっと幸せになってやるぞ!って思わなきゃダメです!
大きい幸せは小さな幸せがわかるから大きい幸せを感じることができるんです!」
と2人のなにげない日常のときよく言う
だから俺は桜を見ていつも言う
「俺にとって桜が笑ってくれることが俺にとっての幸せだよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます