第16話

2年生になってからの夏休み。今日は部活で大学生と練習試合をやることになった。相手は富美とよび大学で県のなかでも強いほうだった。蛯名先生が異動してから新しく来た顧問はなんと青木先生だった。俺たちにあんな思いをもうさせたくないということで俺の代が終わるまで高校の先生として残ってくれるらしい。

「今日は大学生相手だが、そんなの関係ない。お前たちらしくやれ」

「はい!」

俺たちよりも何倍も力強くて、体つきもいい大学生に俺たちはダブルスコアでやられた。



















「失礼します」

俺はあの練習試合のあと青木先生に呼ばれ、教官室に行った。そこには富美大学の先生と青木先生がいた。

「あの……?どうかしましたか?」

俺は椅子に座るよう促された。すると富美大学の先生が

「君、この前富美大学のオープンキャンパスきてたよね!?車に興味あるの!?」

「え!?」

富美大学は車関係の勉強ができるところで、部品や作り方まで学べる。俺は昔から車などの乗り物に興味があってそれ以来よく勉強をするようになったといってもおかしくはない。

「車は昔から好きで……でも大学ではバスケしないので」

教官室は沈黙になる。こればかりはしょうがない。姉ちゃんが大学にいって家にお金もないし、最近は両親の具合もあまり良くない。

「いやいや!!俺が関心したのは車への興味なんだよ!!バスケはお金に余裕あればだし……俺の説明をあんなに熱を持って聞く生徒は久々だったからね!」

「いやいや!!ただ楽しかったですよ!」

「それで君に富美大学で車について学んでほしいから推薦を君に出したいと思うんだがどうだい?」

「え!ぜひ!!」





















俺はあの夏同期の誰よりもはやく進路が決定した




























俺はあの日から部活のあと久遠のばあちゃんのところで間食をしながらばあちゃんの優秀な孫と一緒に勉強をした






































クリスマスの日俺は久々に彩葉の墓に訪れた。

「久しぶり。俺……進路決まったよ……これからも応援してね……」

俺はクリスマスローズを飾り墓を後にした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る