第18話
俺はあの試合で思った。
俺は運がない
生まれも育ちも恵まれていない
俺は色んな人が苦しくなり、いなくなるところばかりを見ている
なぜ人生はこんなに残酷なんだ
神様なんか信じるもんかと思った
「……い……蓬莱!!」
俺は達也に呼ばれハッとする。
「なに?」
「先生に指名されてるぞ!」
俺は頭を上げると物理担当の先生がカンカンに怒っている。
「この式を解け!ついでに罰としてこれもだな」
俺はその問題をスラスラと解いた。これは車を作る上で必要な知識だったから楽勝だった。
頭が良くて、運動もできて、女子にも人気な俺
しかしこんな人生が欲しいわけじゃない
高校三年生になった俺はいつもどおり爆速で自転車を漕ぐ
「蓬莱!!いつも言ってるだろ!!スピード出しすぎだっつーの!!」
「田嶋さん!おっはよー!今日もパトーカーですか〜?」
「お前はいつもスピードが異常なんだよ……」
結局俺の高校までついてきて今日も俺の勝ち
「いつも見送りありがとな〜」
「お前……はやすぎるわ!!」
俺は下駄箱に靴を入れる
「おはよ!蓬莱くん!!」
「……はよ……」
最近俺につきまとう
俺は三浦と関わるうちに前みたいに考えてもどうしようもないことを考えることを忘れ、笑顔が増えたような気がする
彩葉以来にこんな気持ちを持つのは久々だった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます