第18話

俺はあの試合で思った。






















俺は運がない





















生まれも育ちも恵まれていない




















俺は色んな人が苦しくなり、いなくなるところばかりを見ている




















なぜ人生はこんなに残酷なんだ














神様なんか信じるもんかと思った






















「……い……蓬莱!!」

俺は達也に呼ばれハッとする。

「なに?」

「先生に指名されてるぞ!」

俺は頭を上げると物理担当の先生がカンカンに怒っている。

「この式を解け!ついでに罰としてこれもだな」

俺はその問題をスラスラと解いた。これは車を作る上で必要な知識だったから楽勝だった。





















頭が良くて、運動もできて、女子にも人気な俺





















しかしこんな人生が欲しいわけじゃない





















高校三年生になった俺はいつもどおり爆速で自転車を漕ぐ

















「蓬莱!!いつも言ってるだろ!!スピード出しすぎだっつーの!!」

「田嶋さん!おっはよー!今日もパトーカーですか〜?」

「お前はいつもスピードが異常なんだよ……」

結局俺の高校までついてきて今日も俺の勝ち

「いつも見送りありがとな〜」

「お前……はやすぎるわ!!」

俺は下駄箱に靴を入れる


















「おはよ!蓬莱くん!!」

「……はよ……」

最近俺につきまとう三浦 香澄みうら かすみは俺と同じクラスで席が隣だった。最初に会ったとき三浦は俺に興味深々でマシンガントークを繰り出した。しかしそれが意外と嫌じゃなかった。明るくて男子からも人気な女子だった。勉強はできないが、運動はよくできる。授業中は俺が先生から指名が入るほど三浦係だった。しかし三浦にいつも思うことがあった。三浦はよく笑うのだがそのあとがとても暗い。それに腕も細すぎくらいだし、髪の毛は結んでいるが、髪の毛が傷んでいることがわかる。それにごくたまに痣ぽいのが見える。三浦が家族から虐待されているのか?と思ったが、三浦の家はみんな仲良しだと言う。






















俺は三浦と関わるうちに前みたいに考えてもどうしようもないことを考えることを忘れ、笑顔が増えたような気がする

































彩葉以来にこんな気持ちを持つのは久々だった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る