第4話
「来たぜー!!箱根!!」
「あはははは!よっし!行くぞ!!」
俺と父さんは大きな一歩を踏み出す。海の匂いと店からの匂いが混ざって風に飛ばされてきた匂いが鼻をくすぐった。あのあと俺と父さんは荷造りしてすぐ家をでた。母さんには父さんがうまくいってくれたらしい。
駅から旅館までの道で俺と父さんはいろんなところをぶらぶらすることにした。
海鮮ものや和菓子屋などいろいろなものが俺にとって初だった。
「父さん!俺あそこのお店のやきたての醤油のり餅串食べたい!!」
「おぉ!!実は俺もだ!!さすが我が息子だ!!」
俺が店の店主に注文すると父さんがお金を払ってくれた。
「いい息子だな!お父さんよ!」
と店主ががはは!と笑いながら気さくに話しかけてくれた。火の近くにいるからか、店主の頭の巻いたタオルの近くに汗が見えた。
いい息子という言葉が俺の心の中の黒い部分を出させる。しかし父さんが
「こんな子が俺の息子だなんて俺は幸せものだよ!」
と幸せそうに笑う。俺父さんや母さん、姉ちゃんに迷惑かけてばかりなのに……
「失敗しても、なにかやらかしても良くても悪くても俺の息子だ。」
と俺の頭を撫でながら言う。
「俺はお前たちを幸せにするために仕事をもっと頑張る。寂しい思いさせるけどたまにはこうやって遊ぼうな?」
「うん!」
これは2人で指切りげんまんした約束。俺もいつか父さんみたいになりたいと思った。
「兄ちゃんにはサービスするぜ!!」
と店主が差し出したのはビニール袋にたくさん入った特製のせんべいだ。様々な味が入っていて
「いつかまた買いにこいよ!」
俺は嬉しくなって店主にお辞儀をした。
そのあと2人で湯葉のお店に入り、俺は初めて湯葉を食べてあまりの美味しさにその味が忘れられなかった。2人でお店を通り抜け旅館へのバスに乗る。1月の真冬でとても寒かった。俺と父さんはバスに揺られるとバスはどんどん山を登っていく。こんなところに旅館なんかあるのか?山を登っていくとまた新たなお店や旅館が目に入った。父さんは俺の肩をトントンと叩くと次のバス停で降りた。
父さんについて歩くとそこには1つの旅館に着いた。木材で建てられていてとても和風な旅館だった。草木が美しく生えていて俺は目を輝かせた。中に入ると女将らしき人がいて
「本日はよくぞお越しくださいました。ごゆるりとお過ごしください。」
と案内された部屋は畳が敷き詰められていて、とても広くこたつと布団が2つあった。
「ひやっほー!」
俺は布団にダイブした。
「こら!俺が先だ!」
とこどもぽく笑った父さんも布団へダイブした。お互いそのあとしばらく布団の感触から離れられなかった。
「なあ智。」
「なに?父さん。」
「今からユネッサン行くぞ!!」
「うわー!すげぇ!」
「おぉ!あそこに水着のお姉さん!発見!」
「このエロおやじめ!!」
「あはははは!」
俺と父さんはスライダーで遊んだり、水着のお姉さ……とここまで言うとアウトなので、ワイン風呂などに入ったりして遊んでまったりしてまた遊んでの繰り返しだった。
「本当に楽しかった!!」
「おぉ、それはよかった!」
俺と父さんの幸せは夜空の星のように儚かった。
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