第3話

職員室で担任の野中 美子のなか みこはため息をついた。

「蓬莱くん。いくら音楽が苦手でもこんなことしないでくださいよ」

「……すみませんでした。」

「まったく、あんたのお姉さんは優秀なんだけどね……」

「……」

俺は謝るか黙るかの二択しか用意されなかった。さすがに女子の頭にリコーダーを通して涎をたらすことになるとは……。

俺がうつむいていると

「姉ちゃん!」

「智!弟を許してください。」

と姉ちゃんは頭を下げた。担任は

「はぁ……さすがに校内1の学力を持つ2人だから黙ってみてたけど……」

俺はその言葉にカチンと来た。さすがに担任……いや人としてコイツは失格だと思った。

「てめぇ、人を学力で見てたのかよ……!」

「そうよ?だって将来天才を見つけた有名な人になるんだから!!」

正直俺の時代は学力主義だったから人をそんなふうに見るのも仕方がなかった。だが最近頭のいい奴らが頭のよくない奴らをいじめている。

「頭がいいからってなにをしていいとは限りません!!」

「それなら……お姉さんは口答えするからしばらく学校に来ないでくださる?」

「そ、それは……」

「あはは!そうよね!だって受験するからね!勉強ができなくて落ちるだなんて弟のことに関わったあなたの自業自得じゃない!」

俺は気づいたら担任を殴っていた。担任は殴られたと感じるのに時間がかかった。

「いい加減にしろ!!今回は俺が悪い!!それでいいだろう!姉ちゃんの人生をつぶそうとするな!」

俺はもう一発殴ろうとしたとき他の先生に取り押さえられた。
























あのあと俺と姉ちゃんは母さんに連れられて家に帰った。あの担任はさすがに問題発言をしたからしばらく自宅待機になった。俺は一週間の自宅待機、姉ちゃんは特になにもなかった。

「もうなんで上手くいかないのよ!!」

母さんは泣きながらそう言った。姉ちゃんはもう我慢できなくなって二階の部屋に上がって泣いている声が聞こえた。家がお通夜のような雰囲気になる。俺は自分の部屋に引きこもる。俺がおかしいのか?もうわからない……

するとキィっと俺の部屋のドアが開いた。

「智……お前……」

「なんだよ父さん……」

きっと怒られると思った。しかし父さんは

「あはははは!お前最高だわ!」

「笑いごとじゃねえーよ!」

父さんは腹を抱えて涙をながしながら笑った。

「しばらく自宅待機だろ?」

「うん」

と父さん少し笑いが落ち着くと

「今日から特別に有給休暇もらえたから2人で1泊2日の箱根旅行に行くぞ!!」

俺の目の前に出したのは2つの無料のチケットが。

「これから蓬莱家の特別校外学習をするぞ!!」









これだから俺は父さんが好きだ。




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