第6話
あの子の名前は
「ねぇねぇ、蓬莱くぅん。今日私と遊ばない?」
「いや!私よ!!」
「蓬莱くん!私お菓子作ってきたんだけど食べない?」
俺の周りに常に女子が少なくて5人、多くて10人以上いる。うるさいし、香水くさいし、興味無い。俺は達也を見つけ助けてほしいとテレパシーを送るが、達也はこっちを見てニヤニヤとするばかりだった。
そんなある日俺に変化が訪れた。
「席替えするぞー!」
と先生がニヤニヤしながらそのイケメンな顔でみんなが笑いかけると女子は全員ぶっ倒れた。まあイケメンだけどそんなにキュンキュンするのか?と内心笑ってしまった。俺たちは先生が持っているくじを引いていく。俺は
「14か……」
俺が当てた席は窓際の後ろの席だった。先生の声とともにみんな自分の席を持って移動する。すると俺の隣には
「よ、よろしくね……」
まさか柊 彩葉が座ってくるだなんて。
俺は達也の母さんが塾を経営していて、毎日部活終わりに姉ちゃんと勉強しに行っているから授業の内容なんかぜんぶ把握してるし、余裕だった。俺は授業が暇で仕方がなかった。暇つぶしに隣を見ると柊が少し焦っていた。
「どうした?」
俺は柊のノートにそう書いたすると
「次、この式当てられそうななのですが、答えが分からないです。」
とノートを指さしたのとジェスチャーで俺に訴えかけてきた。たしかにこの問題は少し捻っているから学校だけの授業じゃわからない。俺は柊との距離を近づけ、2人にしか聞こえない声で教えていく。元々机を2人でくっつける習慣が俺の時代にはまだあったから手間がかからなかった。
「よくここまで解けたと思うよ。普通にこの問題は学校だけの授業じゃわかんねぇよなぁ。ここは𓏸𓏸して……で……お、ここまでできてるならここも解けるから……そうそう。」
柊は俺の教えたとおり解いていく。
「よく出来るじゃん。」
と俺は柊の頭を撫でた。
「できた!!」
と満面の笑みでこちらに言ってきた。その声が教室に少し響いてしまい先生から
「蓬莱ー、お前柊にちょっかいだしただろー。罰としてこの問題30秒与えてやるから解けー」と先生とクラスの笑い声があり、俺はそのあと5秒でその問題を解き明かしクラスからさすがにヤバすぎるとドン引きされた。
授業が終わり部活に行こうとする俺に柊が目の前に立った。
「どうした?」
と俺は柊に尋ねた。すると柊は勢いよく俺にお辞儀をして
「さきほどはありがとうございました!!」
と礼をしてきた。俺はおかしくって仕方がなくて
「あはは!!困ったら助け合うなんて当たり前だろ?」
と俺は言った。時間を見ると部活の時間が迫っていて
「やべ!!俺行かなきゃ!」
と俺は急いで柊の前から去ろうとした。すると次の瞬間俺の背中に激痛が来た。
「ぐっ……」
俺はあまりにの痛さに意識を失った。最後に聞こえたのは俺を呼ぶ柊の声だった。
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