第28話

桜side

私の家は勉強が1番の家だった。だけど運動もしっかりやらなければいけなかったし、働かざるもの食うべからずの家だったから畑の仕事、掃除などもやった。だけどそれは苦痛じゃなかった。私この家に生まれてよかったなと感じた。





















「お願いします。神奈川県にある大学に行かせてください」

「……」

高校三年生の頃私はお父さんとお母さんに人生初めての土下座をした。正直に空気も張り詰めいていて、足なんか前から痺れてる。

「なぜそこまで行きたいの?」

とお母さんは言う。もともとは推薦をもらっていてそのままいけばいいと考えていた。しかし考えが甘い私はお父さんとお母さんをこのままじゃ納得させることができないと今頃気づいた。

「何学部に入るんだべぇ?」

「経済学部です……経済学部に入って将来就職したいの!」

「それだったらまだオラっちの工場を手伝え!!」

「ちょっとお父さん……」

「就職ならここでもできるべぇ!お前は考えが甘い!!自分が社会人になったらどんないい影響を与えられるか考えろ!!」

そう言うとお父さんはその場を去って工場に行った。そう我が家は自動車のネジを作っている。だけどお父さんは昔から目が悪くてさすがに今年で工場をたたむと言った。お兄ちゃんは県内トップの大学へ、私にも勉強の機会はやると言ってもらえたが県外に行くけどそんなに甘い考えなら工場で働かせたほうがましだと。













「やっぱり……桜がいなくなるのは寂しいなぁ……」

「あなた……」

その日の夜私は立ち聞きしてしまった。お母さんとお父さんは私について話していた。

「行かせてやりたいけどアイツにはちゃんとした理由を言わせてやらねぇとなぁ」

「そうですね。もう大人になりますからね……」


私はこのときお父さんが私が嫌いだから大学に行かせたくないと思っていた私の思考が嫌いになった。お父さん……私のために……


















「私……大学で社会の免許取りたいし、バスケもやって県で1番取りたいの!!」

















これを翌日伝えると2人は頷きそのあとは順調に物事が進んだ

















高校で全国で1番になったし


















引越しも順調だった

















だけどいつも空を見る度になにか足りないと思っていた





















そんなときに蓬莱さんと出会った



















最初はこの人怖そうって思ってた



















だけど琉叶さんと絡んでいる蓬莱さんを見ていると笑いが止まらなかった


















蓬莱さんが教えるバスケが好きだった




















「今は辛い時期だ。だけどお前たちはそれを少しずつ乗り越える力がある。それは俺がなによりもわかってる。誰になにを言われても俺はお前たちのことを誇らしく思ってる!」

とチームメイトを抱きしめていた。仲間を大切にする蓬莱さんを見て私は心が暖かくなった
























「桜」



















蓬莱さんが私を呼ぶ度に世界がキラキラして見えるの



















蓬莱さんご飯を食べてるときにとても可愛い顔をして笑うの






















怪我をしたとき私をおぶってくれて家の前まで送ってくれた





















私と1on1で負けたときは決まってバニラかチョコのアイスをくれるの




















蓬莱さんと話す度にまた知らない自分を知れるの

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