第34話
「うう〜泣けた〜!!」
「泣きすぎだって、桜」
「だって〜!!」
映画を観終わった俺たちは夕方の道を歩く。
「私涙脆いんですよ〜!」
「それにしても泣きすぎだって」
と俺は自然と笑みがこぼれた。これが愛おしいと思う気持ちなのかとわかった気がする。
しばらくすると桜が
「あ!影が重なってる!!」
俺はふと下に目線をやると俺たちが寄り添ってるように見えた。
「うふふ、幸せだなぁ」
と桜は顔を赤らめながら言う。その顔が俺にとっても幸せだった。俺は桜の手を繋ぎ恋人繋ぎにした。
「ほ、蓬莱さん!?」
「しっかり捕まえとかなきゃ」
と俺は桜の手に軽いキスをした。
俺たちの愛は深まるばかりでこれからどんなことも怖くないと思ってた
「だから言ってますよね!?あの人と密会してたじゃないですか!!」
「いやちがう!!」
「もういいです!」
と言い桜はバタン!と扉を閉め家から出て行った。
ことが起こったのは数時間前
取引先の担当が女で俺はほとんど関わらないで、後輩に任せていたが、俺じゃないと契約しない喚き散らし最終的に俺が代わりに交渉した。契約はとれたものの女のほうがしつこくつきまとい会食しろと言ってきた。それをたまたま桜に見つけてしまい、私以外に女がいるのになにをしているんだと言われてしまった。桜に誤解を解かせたいと思っていたが、俺の言葉も足らず、なんなら女のほうが付き合ってるだとかなんだとか言い余計に悪化させた。俺は怒りに狂い桜のアパートまで桜を強引に連れていき誤解を解こうとしたが桜が涙ながら
「私は必要ないんですよね……?だったらもういいです!」
と言って俺の言いたいことを拒絶するかのようになった。
「追いかけないと……!」
俺は持っていた鞄を乱暴に置き、急いで桜を探す。雨が降ってきているが、俺は気にせずそのまま走り続けた。桜がいそうなところ……
近くで救急車の音がしてまさかと思い俺は音のするほうへ走る。
「女の子が倒れたらしいわよ……」
「若い子だって……かわいそうに」
野次馬がいて、俺は急いでそこをくぐる。俺は人の目なんか気にせず必死に桜を探す。
「蓬莱さん?」
そこには傘を持ってコンビニの袋を持っていた桜がいた。俺は桜を見つけ安心して桜を強く抱き締めた。桜は傘は落とした。
「無事でよかった……」
と俺は涙ながら言った。
「私も話を聞こうとせずに一方的に決めつけてごめんなさい……」
「俺もごめん……だけど信じて俺は桜だけだから」
「もう……!こんなに必死に探してくれたから信じちゃいますよ……!」
と俺たちは笑い合った
俺は桜の持つコンビニの袋に目をやる
「これって……」
「私たちの決まり文句」
「「バニラかチョコのアイス!」」
「今日は私がチョコもらいますね!」
「えー!俺もチョコがいい!」
「じゃあ半分こで!」
美味しいのも幸せなことも悲しみも2人で半分こ
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