Romantic−reversal
kitchenKZ
Romantic City
第1話 始まりは終わり終わりは始まり交わりへの旅立ち
星が宙を舞った。
誰かを幸せにしたかった。死に際に思ったのは
自分勝手な男とは俺の事、
夜中ぶっ通しで遊んでCLUBからの帰り道、先輩とラーメンを食べてから帰路へと辿り着く。
「お前のラップは中身がねぇ。俺みたいになれ」
「そんでだな、金、貸せないか?」
俺は何かを探してた。夜な夜なCLUBで馬鹿するラッパー。そんな17のガキにたかんなよ、マジで。批判はするし機嫌が悪けりゃ暴力を振るう先輩。後輩に金を借りる先輩なんかに俺はなりたかねえ。少し年上ってだけで偉そうにする
俺は中卒だ。頭が悪いのは自他ともに認めるくらいにオツムの出来が悪い。高校にも行かず毎日CLUB通いしてた所、色んな人達に魅せられて夜の街へと馴染んでいった。いたつもりだった。
好きな事をやればいいのに。
それが俺の信念だった。
其処らにありふれた口だけの奴。経験してねえのに知ったふうに語っちゃう間抜け面の馬鹿。偉そうに上から被せてくるう◯こ教師。勘違いしてるナルシスト。表では真面目な面して裏ではスケベな事しちゃってるバカ(アカ)ウント。ネットキチガイ。
好きにやればいいさ。てめーはてめーの人生なんだ。他人に迷惑をかけなければ、そんな事も俺は判らなかった。
夜出掛ける俺を親も最初の頃はとやかく言って来たがそのうちに愛想が尽きたのか言っても無駄だと思ったのかはわからないが今じゃ何も言わなくなった。
それは両方だし親も無言になるのは俺が怖かったんだろう。愛想が尽きたのか?寂しそうに酒を飲んでる後ろ姿。
親父の笑った顔を見たのはいつだっけな。
親の財布から金を盗んでは散財した。
女の酒のグラスに睡眠薬を入れて持ち帰りした。
恐喝、喧嘩、泥棒。
チンケで小さい男。それが俺だった。小さな男は他人を馬鹿にした。あいつはかっけえ。こいつはダッセえ。見下して、愉悦してた。採点してるお前が一番ダッセえ事に気付かないで。
好きな事もしないで何が楽しいんだ?
俺は違う。お前等とはちげえと。自分にはラップがある。人と違う自分は格好良いだろ?
他人の事情を考えないで馬鹿にした。生きてて巨大化したのは自分のエゴだった。
クズの愚者。
普通は、他人をバカにしない。
普通は人を傷付けない
普通は、普通は、そんな事を言う世間にも親にも頭に来たが
何が正しいのかわからなかった。クズが。
イヤホンから馴染みのclubのDJが作ってくれたMIXテープを流す。名曲に、新曲、自分の好きな曲、この3つをどう繋ぐかが腕の見せ所だ。アングラにミーハー、コアなのばっかりだと客はわけわかめな状態になるのでそうゆう曲は家で聞いてるらしい。
音楽を聞きながら歩く。気分が良い。
先輩に馬鹿にされた事も、金が無い事も、何も言わなくなった親の事も全てがどうでも良い。
考えなくて済む。
音楽は他人の人生だ。他人の人生を聞いて俺もそんな歌手の人生を歩んだ気がした。
そうすると何も考えないで済む。
自分の人生なんてちっぽけで、壮大な歌を聞いてたほうが楽だろ。
この先の人生、楽に生きていけるってなんとなく思ってた。
なんとなく生きて、なんとなく働いて、結婚なんてしたくなかった。両親はクズだったから結婚生活なんて考えられなかった。
そのくせ寂しがりやで女には飢えてた。
殴ったり、巫山戯た行為もした。
自分の過去と向き合えなかったんだ。
自分と向き合えないから相手の事を考えられない。
考えない馬鹿と考えてる馬鹿、
どちらが悲しい事なのかは現時点ではわからない。1つ言えるのはどちらの未来も行き先は暗いって事だけだ。
だけど俺は考えない。
惨めな自分を見詰めるのが辛いからだ。
リズムにノリながら前を向いて歩いてると向かいに歩いてるおっさんが俺の方を見ながら驚愕の表情をしだした。
なんだ?と思ったのも束の間体に物凄い衝撃が走った。
軽いブレーキ音と共に跳ね上がる俺の体。
宙に舞った。
トラックが後から俺を跳ねたのだ。
まじかよ、なんで俺が。
最初に感じたのは驚愕の後に怒りの感情だった。理不尽な目にあった事への怒り。
衝撃から俺の体感速度がスローに動く。現実世界と思考速度の矛盾の中で体が空へと打ち上がり地面がゆっくりと近づいてくる。
今日も何時もの様にclubから帰って、またLiveしたり仲間と馬鹿やったりしたかったのに。なんで、俺が。
おっさんが物凄い顔で俺を眺めてる。あ、おっさん顔の黒子から毛が飛び出てるぞ。なんで?こんなよく目が見えるんだ?ふざけてんのか?
クソが。なんで俺が。
死ぬのか?こんな所で?嫌だ、死にたく、ない。
ああ、
他人をもっと幸せに出来たら良かった、な。
最後に見る顔が冴えないおっさんの面かよ。
善悪の矛盾の中で地面に叩きつけられて、俺は死んだ。
辿り着いたのは冴えない男が平凡に居なくなるなんてことも無い事故死だった。
____________________
「・・んっ!せいくんっ!!」
誰かが俺の体を揺さぶってる。せいくん?確かに昔はあだ名でそんな呼び方をされたこともあるが。体が、ダルい。
何か夢を見ていた気がする。それは魂の夢だ。
星が夜空を光ってる。
流れ星。星々が
沢山の星が光ってるがその中の1つの星が俺だ。
星が流れてる。俺の側に寄り添う様に流れる星達や、関係の無い星。関係の無い星なんて
星が輝いて周りの星も煌めく。
お前が笑えば、俺も笑う。
そんな星々が光る色を失って消えそうになるんだ、それは死なんだろう。怖い、痛いと思うが消えるとまた新しく星が輝く。
死は一瞬で、永遠だった。
ずっと、そうやって人間達は生きてきた。そんな夢。
「ぅうーーん?なに?」
軽く唸りながら目を覚ます。俺は確か後から車か何かに轢かれた筈。て事は病院か?
いや違う。12畳程だろうかそこそこ広い室内、ベッドの上に居た俺が周りを見ると
茶髪のゆるふわパーマのロングで美人と言うより良く見たら可愛い系かな?目に涙が溜まってて鼻水も出てるしどうしたんだろうか。
「あの、大丈夫ですか?」
「うそっ!!せいくんが私に話し掛けたっ!!」
「えぇ?ここは一体?あの、どちら様でしょうか?」
初対面の人に敬語を使える男。無駄に夜の街でヤクザや半グレとコミュニケーションを取ってなかった。タメ口のラノベを見るとどんな人生経験歩んでんだと思うのは俺だけか。気を使ったつもりだったが目の前の女性は顔を真っ青にさせてこんな事を言った。
「え・・・せいくん、やっぱり、頭を打ったのかな、びょっ!病院行きましょっ!せいくんには悪いけど強制よっ!」
真っ青な顔になりながら俺に病院に行けと言う彼女。君が行ったほうがいいのでは?と思ったが俺も車に轢かれてどうなったのやら疑問だが頑なに病院行きましょと言ってくるのでベッドから立ち上がり体の様子を確かめると無傷っぽかったがシャツを捲くりあげ腹や胸を見てみると目の前の女の人が顔を真っ赤にさせた。
「せいくぅん、お母さんにそんなぽんぽん見せちゃってどうしたのかな?いいの?いいのかな?」
「うえっ?お母さん??」
何の了承を得ているのか一向に解りませんがお母さんだって!?あんだって!?
「えへへ、せいくんのお母さんだよ?あっ!!やっぱり!せいくんね、部屋で物凄い音がしたから様子を見に来たんだよ?ドアをノックしても返事が無かったし、その、心配だったから。鍵が掛かってなかったからお部屋を覗いたらせいくん倒れてたんだよ?朱音と2人でせいくんをベッドまで運んだんだよ。そうっ!だからせいくんに何か有ったら大変だし病院で診てもらいましょ?ね?ねねん?」
めっちゃ早口で喋る姉ちゃん。ふむ。よくわからん。お母さんってこんな若い姉ちゃんが?
普段着だったのでまあいいかと思いそのまま彼女の後に付いていくことにした。
車の後部座席に座らせられて病院へ。家から出るときに母親?からマスクと帽子を被るように言われた。玄関を出て今居た家を見るともんのすごくでかい。こんな豪邸誰が住むのって感じだ。
車窓から外を眺めてると歩いてる人達が女、女、女、おんな、女、幼女、美女、美少女、美女、熟女、女、女、美幼女。女しか居ないんだが。マスク皆してないじゃん。コロナどうしたん。しかも皆、滅茶苦茶美人。母親を自称してる彼女も大概美人だが何かがおかしい、気がする。
「あの、男の人居ないね?」
運転中の彼女に悪いが聞いてみる事にした。
「えへへ、当たり前だよっ!男性は希少だからねっ!」
俺に話し掛けられたのがよっぽど嬉しいのか照れながら話す彼女。ハンドルを左右に揺らすな。揺れてるから車。
「男性が希少って?どーゆーことかな?」
ポンコツ具合が家から出るまでの現在に当たって分かったので敬語を辞めた俺。その問いに明かされたのはこの
話半分で聞いてくれ。設定はフワッフワだ。
宗教がこの世界何よりも尊ばれた。神を信仰し、他者へと説く。強引な宗教勧誘、政治家への浸透。乱交に暴力、なんでもござれの宗教が国毎に有り一大派閥だった。国ごとに宗教が有り、宗派ごとに争った。いくつもの国が滅んだ。宗教戦争で沢山の男性が死んだ。すぐに男性は増える、当時のお偉方もそう考えた。
第3時世界宗教戦争。
その争いの後に妊娠し、出産しても男性が生まれない事に国は慌てた。
アステカの呪い。
アステカ国が世界に対して使ったウィルス兵器が原因ではないかと言われている。
アステカ国は他国から避難され孤立し崩壊した。男性は自然妊娠からも生まれなくなった事から人工授精の技術が発達した。女性と女性から妊娠出来る技術さえもだ。
俺はそんな女性妊娠した運転席に座ってる彼女の息子らしい。男はもんのすごくタマに生まれた。
「ただいま〜!おかえり〜!」
病院では何も異常が見られないとの事なので帰宅して一人お帰りなさいごっこをしてる彼女にお帰りなさい母さんと言っといた。
病院では何故だかナース服を
「母さん、暫く部屋に居るからまた後でね、今日はありがとう」
この若い姉ちゃんに母さんなんて言うには躊躇うが話が進まないので折れて呼ぶと「はわわ、せいくんがあっしにお礼を」なんて言ってるのでわけわかめだなと思いながら自分の部屋と思われる部屋で調べ物をする事にする。
まず第一に。俺の顔何処行った。
車窓から反射する顔を3度見以上した、異常あり。だ。俺の顔はこんな王子様っぽくなかった。何処の第一王子やねん。喧嘩で折れて骨を繋ぐ時にでかくなった鼻がスッと高くなってる。目は切れ長で流し目なんかしたら流されちゃうだろってくらい色気がある、はい。美少年です。
名前は
俺は、死んだ筈だった。
死ぬ前の事を覚えてる。誰かを幸せにしたかったって。知らない親父の黒子顔も。
この肉体の本来の魂は何処へ行ったんだ?
わからない。
わからないが、
母親と会話するだけで喜ばれる世界。
街中に女性一色の世界。
病院でも女性に挨拶するだけで感涙する世界。
最高じゃないか。
俺は、この世界でラッパーになるっ!!!
頭がパッパラパーな男が貞操逆転世界へと転生した。今世の前の人格の魂はこの世界の男達と同じくクズだった。女性とは家族でさえ会話しない。引きこもり殻に閉じ籠もってた男だ。暴力を振るわないだけましだったとも言えるが。体は鍛えるのが好きだった為に部屋の中にトレーニング用の道具が置いて有りストレスを発散してたのも良かったのかもしれない。
しかしそれが仇となり彼の魂は夜空へと帰った。無理な運動によりベンチプレスが彼の胸元を圧迫したのだ。なんとか跳ね除けたが意識が混濁とする。生きたいと言う意識が彼には無かった。目を閉じて星が消えるように願った。その願いは叶った。彼の元々の肉体に並行世界から来た流れ星が落ちた。この世界の主人公は星の煌めきから生まれた。
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