第11話 死にたくて生きたくてもう頭がパンクして今に壊れそう

遊園地TRIBEした日から数日が経って今日は5月の5日。

今日は前から約束してたカエデちゃんとのデート日だ、なのだが。

遊園地でのガトリングゾンビ掃討作戦、違う。大惨事を招いた張本人の俺はワンダーランドを出禁。賠償責任にならなかったのがおかしくなかったが見えない力が働いたみたいで助る事になった。その遊園地での惨事は動画を撮ってた人が沢山居て切り抜きが山の様にネットに晒された。

さながら映画のワンシーン。

ガトリング砲をまき散らしながら白馬と人間を薙ぎ倒す黒塗りのベンツみたいな車、白馬に跨がる俺の姿がワンセットで巷に溢れた。

んなわけで外出まで禁止された俺。

家から出禁されるとはこの世界舐めてた。

家の近所まででいいからお出かけさせてとなんとか家族を説得したが。

なのでカエデちゃんとは近所の西戸山公園で待ち合わせだ。

俺の住んでる百人町はすこぶる治安が良い。

お偉いさんが住んでる地域なので警備体制等も万全なのだ。人もそんな多くないし。


西戸山公園に護衛達と共に着くとすでにカエデちゃんが居た。メチャシコボディを際立たせるホットパンツにタンクトップ。上を薄手のカーディガンで羽織っているものの胸の膨らみを強調しすぎてもはや凶器レベルになってわけわかんないことになってる。日焼けした肌にショートカット。ホットパンツからでる生足を思わずガン見してしまった。


「ちょっと聖夜くんっ!見すぎっ!えへへ」


「え?ええ、すみませんブラコン違うブランコにでも乗ろっか」


わけわかめになりすぎてわけわかめな事を言う俺。カエデちゃんには下の名前で呼んでと伝えてある(過去話参照:載ってない)。

カエデちゃんはすぐにお漏らしをするので気を付けなければいけない所がある。

外出禁止になってカエデちゃんとはご近所デートをすることが出来たが鏡花に無理になったと伝えると「柿崎さんとはご近所デートしてわたくしとはしてくれませんですの?」と妙な伝達速度で鏡花にも伝わっていた。そんで鏡花は今週末、最後のGWの日に俺の家にお家デートしてくる事になった。あれ?誰か忘れてる気がするが気の所為だ。



んなわけでカエデちゃんと手をニギニギしながら二人でブラブラブランコに乗る。


「聖夜くんっ、恥ずかしいよおっ」


二人乗りだ。勿論カエデちゃんを膝に載せてラブラブブランコだ。


「恥ずかしがるんじゃない、ほらこの棒をもっと強く握るんだ」


「ふええ」


なんつってブランコの鎖の部分を握るように言う。セクハラなんて絶対にしてないのだ。落ちたら危ないからね。


暫くブランコに揺られていると自然にズボンがビチャビチャになった。デカケツにハマってしまったのがイケない。


俺とカエデちゃんに助さんから『クリーン』をかけてもらう。


「勿体ない、いえなんでもありません」ギラリン


なんつってる助さんにありがとうと伝えて滑り台に向かう事にした。カエデちゃんに120回くらい滑り台をしてもらった。俺は見てるのみ。

階段を登るホットパンツ尻を眺めて、滑り落ちる巨乳を見つめる。楽しい時間だった。




「聖夜くん見すぎなんですけどっ!嬉しいけどエヘヘ」


「アハハめんごめんご。お腹空いた?」


延々と滑り台を強制する鬼畜聖夜も気付けばお昼時。街に行けないのでカエデちゃんを連れて自宅で飯を食うことにした。







「せ、聖夜くんほんとに大丈夫なのかな?私がお家にお邪魔しても?」


「ん?大丈夫大丈夫、家族紹介したいし」


それって、私?勝ち組なの?なんつって呟いてるカエデちゃんを無視して玄関のドアを開ける。


「お兄ちゃあ・・ああん?」


気配察知MAXレベルの妹が今日も帰宅後即体当たりをぶちかまそうとするも腕を組んでるカエデちゃんを見てメンチを切る。俺は女と道を歩く時は必ずベッタリする。異論は認める。好きな女ならずっと触れてたくなくなくなくなくなくなくない!?


「たらいま朱音」


「ふわぁああ、お兄ちゃんおかあ〜りぃ」


最近朱音の耳を撫でてやるとフニャフニャになる事がわかった。貞操逆転世界で困った時は耳を撫でろ。学びました。


「あがってカエデちゃん。スリッパはっと『ビクッ』」


「聖夜様こちらに『スッ』」


「ありがつ橘さんお昼この子、カエデちゃんのぶんもお願いします」


「畏まりました」


音もなく現れたメイド長にビクつくもカエデちゃんの前、平常心だ。hey女子!俺ってイケてる?

しーん。



静まり返った合コン会場、違う。静まり返った食卓で食器の鳴る音だけが響く。


いつも喚いてる朱音にうるさい母さん。鼻っ柱を高くしてくれる凪紗姉ちゃん。メチャシコカエデちゃん。皆黙って飯を食ってる。なんか気不味くなくなく無い!?


「ちょっと母さん」


「どしたの?せいくん?」


「カエデちゃんの事無視しないでよ、紹介したでしょ?」


「ふんだっ!無視してなんてあるあるあるわっ!ぷんぷんっ!」


あるんかい。駄目だこりゃ。激おこぷんぷん丸になってらっしゃる。


「ごめんねカエデちゃん、うちは馬鹿ばっかりで」


「お兄ちゃんひどいっ!」「そうよせいくんお母さんは馬鹿じゃないですっ!」「聖夜くんお姉ちゃん悲しいよ?」


「だっ大丈夫だよ聖夜くんごめんね私なんかが来ちゃって・・・私帰るねっ!」


食事中なのに席を立って帰ろうとするカエデちゃんの手を繋いでサッと引き止める。

俺はハッとした。馬鹿は、俺だ。

うちは馬鹿ばっかりだ、前世の父親はそれが口癖だった。何かに付けて馬鹿にする両親。俺のことを見下す姉貴達。不安や不満を末っ子の俺にぶつけてきた。気に入らない事があると押入れに閉じ込めたり外に放り出された。

俺はそんな馬鹿と一緒の事をしてたんじゃないかって。

他人の気持ちを考えない。

そんな人間になってたのか。

自分をしっかり持ってるやつは人を馬鹿にしたりなんて絶対しない。

他人に左右される奴だからこそ人を馬鹿にするのだ。

俺は馬鹿だったよ。

自分を信じて、相手も信じる。

そうしなきゃ、イケない。


カエデちゃんの手をギュッと握る。


「カエデちゃん・・・」


「なっなにかな??」


「好きだ、付き合って欲しい」


「ギャーーーーー!!」「ブフゥーーー!!」「あらあら聖夜くんっ」


妹が断末魔をあげて母さんがスープを吹き飛ばし姉ちゃんが肯定してくれる。してないか。つか断末魔だんまつまの事をだんけつまとずっとよんでたが1つ賢くなった俺に死角無し。


「ほんとにっ?私なんかで良いの?」


「カエデちゃんがいい」


「うれしいっ!!」


ギュッと抱きついてくるカエデちゃん。

俺は勿論抱き締め返す。

カエデちゃんが落ち着いてからまた席に座らせる。エスコート出来る俺はまさに変態紳士。違うか。




「んなわけで彼女になりましたカエデちゃんです。家族みたいなもんだからお互い仲良くしてね」


「・・・・・・・」「アヘッよろちく〜び〜エヘヘッ」「楓さんよろしくねっ」


放心してるロリ。イッチャッタ母さん。平常心の姉ちゃんに囲まれて今度は和やかに食事を続けた。凪紗姉ちゃんが空気を呼んで話すようにしてくれたのが助かった。




場所は変わり俺の部屋。

男の部屋が珍しいのかあっちへキョロキョロ、こっちでゴソゴソしてるカエデちゃん。

そんな時出来る男は突っ込まない。

じっとベットに座って待つのみ。

ベットに引き摺り込んでツッコミたい逸る気持ちを抑えながら。

5分程してカエデちゃんは俺に見られてるのに気が付いたのか慌てだす。


「ごっ!ごめんね聖夜くん男の人の部屋なんて初めて来たからっ・・」


最後まで言わせず抱きしめる。言葉は不要。

俺は愛を体で表現した。














「しゅっ、しゅごかったぁ」


噴水広場の噴水になったカエデちゃん。

俺は正に賢者。

この噴水を3分で創り上げたのだ。

早いと言っちゃイケない。


「頑張っちゃうぞう」


「ぁっまってぇ」


それから5時間程俺の部屋から何かのお肉がぶつかる音が響いた。






夜になり聖夜が煌めく。

星が生まれたのは暗いから。

明るいと星は見えない。

星は夜空にこそ輝くものだった。

暗いと見えるものなーに?

自分の心だ。

醜い心は表に出る。

世の中暗い事ばっかりで、

腐った大人がTVで笑った。

暗がりに慣れると何も見えなくなる、

自分の心も。

輝く星も暗闇を焦がした。

地球に現れた綺麗な星は汚い屑にすぐに潰された。


虐められた。


人と変わってるとすぐに叩いた。


嫉妬して暴力を奮う奴も居た。


暗いところに俺達は居た。


そんな日々が辛くて死にたくて、


だけど生きたくて。


もう頭がパンクして壊れそうだった。


だけど藻掻く24時間。日々を生きよう


飛ばせ憂鬱とその固定観念を


笑ったらけっこう、なんとかなる。








「カエデちゃん大丈夫?」


「アヘッ」


大賢者モードになり噴水モードのカエデちゃんに話し掛けるもアヘッしか言わなくなったので。カエデちゃんの指を貸りてスマホのロックを外して自宅の電話番号を探して通話ボタンを押す。夜だしご家族心配するでそ。


「モシモシ楓?」


声が若いけどお母さんかな?


「あ、すみません朽木と申しますがお宅のお嬢さんを預かってます」


しまった。誘拐犯みたいになってしまってる。


「くくくく朽木さんっ!?聖夜さんですかっ!?ファンですっ!楓の姉の紅葉もみじですっ!」


良かった誘拐されたと思われなくて

姉ちゃんか今度会ってみたいが作者は描写しないんだろうな、おっと思考が逸れた


「アハハ、ありがとうございます。紅葉さんすみませんカエデちゃんがちょっと体調悪くて今日うちに泊まるのでその連絡をと思いまして、」



「私の名前を呼んだっ!?どーぞどーぞっ!!好きなだけ泊めてあげてくださいっ!」


アハハありがとうございます、では、なんつって電話を切る。

ふぅ。

良かった良かった。

ピクピクしてるカエデちゃんを起こすのも可哀想だしな。一先メイドにクリーンでもかけて貰おうと思い服を来てドアを開いた。そしたら人が沢山雪崩込んできた。


「なにしてるの?」


「お兄ちゃん!クサッ!この部屋イカ臭っ!」

「せいくんっ!お母さん認めてないけどお母さんにもしてくれるなら認めてあげてもいいわっ!」

「聖夜くんスポンジ以外の所でもマッサージしないかな?」


とは家族。メイド達も目が血走って居てなんか怖い。


「ザ、ザイツ〜」


とりあえず皆を部屋から追い出してドアをそっ閉じして裸になって寝ることにした。


カエデちゃんが死の淵を彷徨ってお星様になりかけたのはまた別のお話。





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