第10話・護衛?(2)
騎士様達に連れられ私はテーブルにやって来た。
な、何これ……。
目の前には…………。
山積みになった料理。いや料理と言うか、もはやこれは……食材の山?
肉、肉、肉……。
お肉の唐揚げが、今にも大きなお皿から溢れ落ちそうなぐらい積み重なっている。
他にも、これは鳥さんの餌でしょうか? と言わんばかりの野菜の山が……。
牛乳はジョッキで何個も鎮座していた。
その初めて目にする、何とも形容し難い光景に私が絶句していると
「ああ、すまんすまん。俺らみんな大食いだからねぇ。ハハハハハッ。さぁ座って?」
え? ええええええええええええ?
これを食べるの?? 嘘でしょ??
「はいはい。早く、早く。この後カレンちゃんも仕事だろ? おい、皿とフォークとスプーンを彼女に! あ、それと果実水を誰か用意して来い」
「はい!!」
男性が、近くに居た若い騎士様に声を掛けると、即座に彼が去って行った。
ええええええ??
私が訳が分からず驚いていると、別の男性が椅子を引き私に声を掛ける。
「はい、座って。カレンちゃん」
「……はい? ありがとうございます?」
って何でみんな私の名前知っているのかしら? ダニエルさんとサミーさんが話したのかしら?
促されるまま座った私が不思議そうにしていたのに気付いた? 先程の年配の男性が言う。
「ああ、カレンちゃん。驚かせて悪かったね? 実は昨日ダニーの奴から君のことを聞いてねぇ。初めて昨日この城に来て、
実は俺の実家も辺境の田舎さ!」
そう言って彼が豪快に笑った。
その後、彼らの名前を聞き私は厚かましくも彼らの好意に甘え、一緒に食事を頂いた。
本当にご親切な方々だわ!!
そんな中、年配の男性ビクトルさんが私に言う。
「ああ、カレンちゃん今度からは、君も俺達と一緒に飯を食べよう。そうだな? 時間は7時。朝はそこの入口の廊下で俺達を待つか、ここの席に座って待ってなさい。昼は12時に。侍女なら昼食の時間は決まっているはずだからね。新米の君には夜勤はまだないからねぇ。夕食は着替えてからになるからなぁ19時でいいかい?」
え?
毎食ご一緒させて頂いていいの??
「ああ、時間はまぁおいおい変更でも良いが取り敢えず朝は7時、昼は12時、夜は19時だ。必ず俺達を待つように。バイキングのテーブルに一人で並ぶのはやめなさい。ここに座って待つか、入口の、ほら? あそこ? 見えるね? あの木の下に居なさい」
「は、はい」
スラスラと流れるように言われ、私は思わず返事してしまった……。
でもこうして親切にお声を掛けて頂いたんだし、お言葉に甘えて良いわよね?
それから私は、騎士様達に囲まれ、楽しい朝食の時間を過ごすことが出来た。
そして、そろそろ帰らないと! と思った瞬間
「そうだな、カーク! お前が良い、カーク、カレンちゃんを部屋の前まで、お送りしろ!」
え? 部屋まで送る? ええ???
「はい! 分かりました!」
え?
「さあ、早くしないと時間がないぞ? もう8時を過ぎたぞ!」
ハッ! 急がないと!! まだ着替えも終わってないし!!
私は騎士様の好意を有り難く受け、部屋まで急いだ。
部屋の前まで送って下さったカークさんにお礼を言うと、少し恥ずかしそうに俯き加減で軽く会釈をして急ぎ足で去って行った。
私と同じ黒髪に黒い瞳を持つ彼に、私は何となく親近感を覚えた。
急いでお仕着せに着替え、身支度を整えた私は、侍女長様のお部屋へ向かう。
ちなみに、人前で「お仕着せ」と言うのは禁じられていて「制服」と言うようにと注意された。
騎士様と私達侍女は「王家」に仕える仕事な為、押し着せられているのではなく、自らが望んで着ているからだと言われた。その為、騎士様や侍女の制服は、現場の者達の意見を取り入られ改良されることもあるらしい。
そんな栄誉ある仕事をする者が着る制服を、腕捲くりして洗濯をした挙句泥だけにしてしまったことを、昨日侍女長様に私が話したら、侍女長様が倒れそうになったことを一瞬思い出してしまった……。
髪をポーニーテールに結んだ私は、紺のリボンを結ぶ。
制服を改造することは許されないが、髪にリボンを結ぶのは良いそうだ。但し、色は黒、紺、青、茶、白の5色以外は禁止されている。
さぁ、素晴らしい一日が始まるわ!!
ワクワクする気持ちで私は、侍女長様の部屋のドアをノックする。
「お早う御座います侍女長様。カレンで御座います!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます