二章 モンスターを狩ろう

第10話ラプファングの群れ




 ……さて前回は、背後からブスリと戦いらしくない戦い方をしたが、今回は人目があるので、そう言う卑怯な戦い方をする事に対して少しだけ引け目を感じる。


「あらかじめ言っておきますけど、遠距離魔術は打たないで下さいよ? 純粋な近接戦闘能力と、危機対処能力の試験なんですから」


 騎士の一人が俺に忠告する。


「分かってるよ……ファストアタック、ファストスピード、ファストガード、ファストマジック」


 あらかじめ物理攻撃、速度、防御力、魔法の効果時間を向上させるバフを発動させ戦闘に備える。

 手に持っているのは【自在】の魔術文字ルーンが刻まれた鋼の長槍と盾、腰には兄様から贈り物である両刃の片手剣が一振り刺さっている。


「じゃぁ突っ込んで来る」


 俺は盾を構えて槍を突き出しながら、ラプファングの群れに突っ込んだ。


「いや、別に正々堂々と狩る必要は……」


 何か聞こえた気がするが気にしない。


 二匹程度を突進で轢き飛ばす。


「「「「シャーーーーーッ!!」」」」


 ――――と息が漏れるような声で、冠羽を広げて威嚇をする。

 後方へバックステップを取ってラプファングの群れは、俺から距離を取った。

 一番距離のある一頭が、上方を向いて何かの準備をしている。


 不味いな……ゲーム通りなら鳴き声で見方となるラプファングやその親玉を呼ぶ通称【遠吠えモーション】の予兆に見える。


 元の世界にはいい言葉がある。


疑わしきは罰せだ!!


 ブン! ブン。


 俺は槍を手首のスナップで、スライドさせながら突きのモーションを取り高速でラプファングのリーダーと思わしき個体の喉を一突きで穴を穿つ。


 ブシャっと血が噴水のように噴き出すが関係ない。折角リーチがあるんだから範囲攻撃をしないともったいない。俺は槍を両手で持って横なぎに振う。


 ブオン!


 長さの分だけ重いが、魔術で筋力強化と風で推進力を産み出しているのでかなり軽い。

 すると数頭を巻き込んでダメージを与える事が出来る。

 骨に硬い金属が当たる感触がする。これでまとめて5頭瀕死から重症なので、優先度を下げて攻撃しようと思った瞬間。


刹那。


 仲間のピンチを見て、ラプファングの一頭が俺に飛び掛かって来る。どうやら俺が疲れていて息切れしているとでも思ったのだろう……だが甘い。


 俺は咄嗟に盾で攻撃を防ぐ。


 カン!


 重い。だがここで倒れれば殺される!!


 ――――ニィ。

 俺の口角が吊り上がり、まるで笑っているような表情になる。

「辛いときこそ笑え」 これは俺がブラック企業に居た時に気付いた人生の哲学だ。

 辛く苦しい時こそ、無理にでも笑えば少しだけ気持ちが楽になる。


「自在法」


 1ワードで鋼の槍に刻まれた刻印魔術が発動し、槍の長さが見る見ると短くなっていく。すると長剣と呼ぶべき長さに持ちてが縮んだ槍で、右下方から左上方への逆袈裟斬りでラプファングの首を斬り落とす。


 残りはあと3頭。


「自在法、射殺せ」


 縮んでいるのは刀身(槍の穂先)ではなく、柄の金属製の部分のため自在法で伸ばすと穂先はそのままで槍はどこまでも真っすぐ伸びていく……射殺せの言葉通り、まるで矢のように真っすぐと伸びると対象を穿ち殺した。


 残り二匹。


 幸い同じ方向に逃げているので、槍の技術と魔術を組み合わせた技で一撃だ。


「エアボール・バースト、エアボール・バースト」 


 風属性の下級魔術であるボールを生成し、即座に指向性を持って爆発させ槍を上方へ打ち上げ、再度ボールを生成し、即座に指向性を持って爆発させ槍を下方に叩きつける。


 こうすることで少ない肉体的疲労で、長槍の基本戦術である【叩きつけ】をすることが出来る。正直自在法で伸ばした槍なんて、重た過ぎて今の俺には到底振り回せない。だから魔術を補助で使うのだ。


 残念ながらラプファングは、見るも無残な潰れたトマトと言うべきか、ザクロと言うべきかまぁグチャリと潰れた血の塊に変化した。


 仲間達の死を見て逆上したラプファングが、冠羽を広げ全身にある鱗を立ててこちらに向けて走ってくる。


 好都合だ。


 俺は瞬間に備える。


 今だ!!


盾殴打シールドバッシュ


 盾で殴りつけて頭蓋骨を陥没骨折を狙う。


 ガン! と言う鈍い音と硬いナニカに当った衝撃が盾越しに伝わってくる。


 狙いは見事成功し辺りには血がまき散って、とても優雅な貴族の狩りとは言えない惨状になっている。


──『レベルアップ』


「『ステータスオープン』!」




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名前 シャオン 


種族 ハーフエルフ 


ジョブ 槍使い Lv9 ←【レベルUP】


次のレベルまでの必要経験値xxx 


スキル 


【槍術】 Lv4 ←【レベルUP】


 →槍や棒状の武器を使用する際にステータス補正


・【疾風突き】 Lv3 ←【レベルUP】


 →目にも止まらぬ素早い動きで、先制して敵を貫くが素早さの分威力が低下する。※スキル熟練度で効果が向上する。 魔術属性『風』物理属性『刺突・斬撃』


・【突進突きチャージランス】 Lv1


 →槍を構えてスタミナの続く限り速度を上げ当て突撃する。移動能力が上昇する代わりに、視野と旋回性能が低下し距離が開いているほど威力が上昇する。※スキル熟練度で効果が向上する。魔術属性『風』物理属性『刺突』


・【盾殴打シールドバッシュ】 Lv1


 →盾で殴る事で脳震盪……混乱または硬い装甲を破壊する事がある。※スキル熟練度で効果が向上する。



【剣術】Lv1


【盾術】Lv3


【鑑定】Lv1


【魔術】 Lv3 

 

【召喚魔術】Lv2


================




============


【あとがき】


 皆様の応援のおかげで9月22日時点で異世界ファンタジー週間361になりました。ありがとうございますm(_ _)m


ぜひ引き続き応援いただける方は【作品】と【作者フォロー】の方をよろしくお願いします! 12月に新作を上げる予定ですので上がったら通知が行きます。


作者のモチベにつながり、執筆がはかどりますますので宜しくお願いしますm(_ _)m

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