第23話王を語るモノ
各々身体強化の魔術を掛ける。攻撃力・防御力・速力向上、抗魔術、火炎耐性の魔術を唱え準備をする。俺が唱えられる単体・
竜種の中でもドラゴン型の多くが、炎を用いた
俺はエルフ族のハーフのため、殆どの人間種と比べても魔力量は多いので事前準備として、魔術を生成し瞬時にが発動できるように待機状態にしておく。
「準備はいいな? 作戦通り奴を討つ! 人間の底力を見せてやる!!」
「「「「おーーーーッ!!」」」」
こうして俺達は王を僭称する者を意味する僭主……君臨せし暴竜タイラントレックスと名付けた進化種のモンスターと戦う事を改めて決意した。
タイラントレックスを追跡する事約10分。ついにタイラントレックスを再び捕捉した。
準備は既に出来ている。あとはタイミングを見計らって戦うだけだ……
まだ俺達はタイラントレックスに捕捉されていないので、最初の一撃で仕留める事が出来れば万々歳だ。しかし今の俺の魔力コントロールで大魔術を放とうとすれば、発射する前に奴に気取られてしまうので、仕方なく物理攻撃をする事にした。
隊長で片手剣士のマイクと戦斧使いのヴォーギンで足を攻撃。槍術士のケヴィンが二人に来るであろう攻撃を防ぎ、元騎士で弓使いのジョージさんと俺で2人が離脱出来るように支援すると言う手筈だ。
「作戦開始」
前衛二人が駆けだす。
「スキル【敏捷強化】、【軽撃】、【
「スキル【敏捷強化】、【重撃】、【
マイクとヴォーギンが疾走しながら攻撃補助スキルを重ね掛けする。どれもこれもゲーム時代に有効とされていた攻撃スキルだ。
「行くぞ!」
「おう!」
「【
戦斧の刃先が魔力光によって青く光る。大きく振りかぶり腰の入った強烈な一撃が、まるで丸太のように大きく太い脚に吸い込まれるように叩き込まれる。
事前に補助スキルで、武器が当たった瞬間に重量が上が上昇する【重撃】と、攻撃の際に与える衝撃を上昇させ体制を崩す【
その僅かな隙を逃さないように、マイクが剣を振う。
体を斜に構え剣を盾に擦りつけながら、剣を水平に構えてそのまま剣を後ろに退く……まるで邦画版でみた「るろ〇に剣心」の
……史実では無外流と言う抜刀術の流派の使い手で、片手での突きが得意だったと言う逸話から生まれた創作なのだが……今はそんな雑学はどうでもいい。
両刃の片手用直剣の刀身が、赤熱化した鋼やマグマのような
「なんて魔力光なんだ……」
俺は感嘆の声を思わずこぼす。
「凄いだろう。
奴は平民出身だが、武術と魔力に優れた騎士でな……その分やっかみも多かった。
騎士団内部の政争に敗れ、左遷と言う形で坊ちゃんの御守につけられたんじゃよ……」
ゲームではいわゆる。奥義や必殺技と言うべき技にはエフェクト……魔力光や演出で出る画面効果が多く一目でソレと分かるようになっていた。
片手剣用の刺突技の数は意外と少ない。史実では剣による突き攻撃は多かったとされているが、ゲームでは初心者向けの万能武器に機動力や長射程技を多く、入れる訳にはいかないためバランスを取るために、恐らくは意図的にカットされているのだろう。
刀身に風が集まり、ヒューヒューと言う風の音に次第に、キィーンという金属音のような高い高音が混じったかと思えば、あっという間にゴウゴウと唸るような暴風の風音に変る。
バチバチと閃光が迸り、刀身を囲むように渦巻くソレを言葉で表現するとすれば、小さな暴風だ。その技は児童文学『鏡の国のアリス』に登場し、無敵の怪物ジャバウォックを倒したとされる伝説の剣の名を冠した刺突攻撃だ。
「死を運ぶ黒き風、鋭き真実の稲妻が貫き命奪う一撃を……【ヴォーパル・トラスト】」
ヴォーギンが【
それはまるで嵐を凝縮したような行き場を失った小さな嵐の塊が、一気に指向性を持って放出されているようだ。
広場に敷き詰められた。レンガや石材を捲れ上げながら、風撃は突き進んでいく。
タイラントレックスも負けぢと、防御魔術を張るが薄皮を貫くように、意図もたやすく貫通する。
バリン!
「ギャァァァァッァァァッァァァァァァァァァッァアアアアアアアアアアッ!!」
鱗が捲れその下の血の通った真赤な筋肉と白い骨が見える。
しかしタイラントレックスは崩れる事はない。
「任せろ! せやぁぁぁぁっぁぁぁぁぁああああああああッ! 【三段突き】!!」
いつの間にか接近していた槍術士のケヴィンが攻撃を放つ。それは目にも止まらぬ速度で繰り出される、圧倒的な速さを持った突き攻撃。狂いなく同じ部位に素早く、三度突きを叩きこむ事によって相手に致命傷を与える槍術の中位スキルだ。
「よし決まっ――――」
刹那――――。
タイラントレックスはその脅威を露わにする。
6メーターはあろうかと言う細長い尾がまるで鞭のようにうねり、ケヴィンの身体に長い尾が辺りケヴィンはそのまま吹き飛ばされる。
奴にとって今の今まで俺達は、少しうざい程度の虫扱いでしかなかったが、今タイラントレックスは俺達を明確な脅威として排除する気になったのだと、奴の縦に細長い瞳孔が雄弁に物語っている。
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【あとがき】
まずは読んでくださり誠にありがとうございます!
読者の皆様に、大切なお願いがあります。
少しでも
「面白そう!」
「続きがきになる!」
「主人公・作者がんばってるな」
そう思っていただけましたら、
作品フォローと★星を入れていただけますと嬉しいです!
つまらなけば星一つ★、面白ければ星三つ★★★
読者の皆様が正直に、思った評価で結構です!
作者のモチベーションが上がって最高の応援となります!
そうぞ、よしくお願い致します。m(__)m
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