第6話個人授業



 Sランク冒険者とは、冒険者ギルドが定める等級において最上位に位置する等級であり、パーティーで天災と称される神龍を相手出来ると言われており、モンスターが跋扈ばっこするこの世界においては【英雄】と呼ばれる存在だ。

 

 そんな実力者からアドバイスを貰えるなら鬼に金棒、虎に翼だ。

 夕食の時間が楽しみだ。


「……いつまで油を売っている? 早く授業を受けて来い。」


 兄がそう言うので仕方なく俺は自室に戻る事にした。



………


……




 現代人の俺からすればアンティーク調の室内のインテリアに囲まれて、20代半ば程の年齢の女教師の授業に俺は耳を傾けて、纏まっていない紙に羽ペンでノートを取っていく……


「あまり身が入っていないようですね……」


 女教師シャルロットの言葉に思わずドキンとした。


「すいません」


「いえ、悪い事ではないのですよ……子供なんだから興味が色々とある事はいい事です。それにと思えば、別の事をして頂いてもかまいません。」


 ――――と少しキツイ物言いをするこの女性は、この世界においては相当な知識を持った人物でありその知識が評価されて、俺の家庭教師になった才女と言うべき人間だ。


「すいませんでした」


「分かればいいのです……少し身が入っていないようなので、シャオン君でも興味を持って貰えそうなお話をする事にしましょう……」


 そう言うと彼女は大きな図鑑のような本を取り出した。


「コレはモンスター大全と言い。現在発見・公表されているモンスターの全てが乗っている書物です」


 ゲーム内ではギルド職員の一部が持っていると言われている書物であり、この世界における学士……その中でも生物・植物学など一部の学問を究めた者にのみ購入権があるとされる書物であり、重要性は高い。


「少し古い分類ですが、モンスターは竜と龍に大まかに分けることが出来ます。分かりやすく言えば人知が及ばない天災級の危険度を持つものの総称が龍、それ以外が竜です。

 現在では研究も進み竜種は細かく区分訳がされているのですが……研究者や学派、魔石を持たない生物を基本的に扱う生物学でみるのか、モンスターを専門として研究する魔物学でみるのかでも区分が変って来るので、その辺は多少あやふやでもいいでしょう……」


 この点はゲームと同じだ。竜は一般のモンスターが多く当てはまるものであり、例えばこのゲームではファンタジー作品では定番の動く土塊人形ゴーレムでさえも竜種に分類されていた。

 あくまでも人類の手に負えるか負えないかと言う基準でしかないのだ。


「……さて冒険者の話をしましょう。

 冒険者の仕事はモンスターを狩猟する討伐スローター系と、物品の採取をする納品系、対象を警護する護衛系、町のインフラを維持する手伝い系の四系統が主な仕事であり、冒険者技量と品格を基準にS、A、B、C、D、E、F、Gランク8等級に分けられ冒険者には、領地や国家間の移動にかかる税金の優遇措置が取られていますが、人類の危機には率先して戦う事が求められています」


 これもゲームと同じ設定だ。


「盗賊や海賊と言った賊の討伐は、依頼として出ないんですか?」


 ゲームではプレイヤーがこの手の依頼を受ける事は出来なかったが、NPCの中には【賞金稼ぎの〇〇】と名前の着いたモブキャラクターもいたため、恐らくそう言う依頼もあるだろうと思って質問した。


「良い質問です。盗賊は人間に害を与える存在なのでモンスターと同じ扱いをします。なので討伐スローター系に分類される依頼なのですが……異形の姿をしたモンスターの専門家である冒険者よりも、傭兵や衛兵といったプロが相手する事が多いです」


 なるほどそれでプレイヤーにはそう言った依頼が無かったのか……まぁあとはセロを下げる目的もあるだろうけど……


 こうして女教師の授業に興味を持った俺は、そのまま夕食までの時間彼女の授業を受け続けた。



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【あとがき】


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作者のモチベにつながり、執筆がはかどりますますので宜しくお願いしますm(_ _)m


シルバーウイーク? 期間中は毎日投稿します。土日は二話うpします

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