第15話決戦!ビガラプファング




「デカすぎんだろ……」


 そうは言っても、ゲームでは比較的雑魚に分類されるボスモンスターだ。

 どうせコイツを狩る予定だったんだ……それにコイツがこの先に行ってしまうと避難所がなくなって住民が死んでしまう。

 しかし全力で魔術を放ってしまえば、コレから迫りくる魔物相手に成すすべが無くなってしまう……

 

「さて最低限度の魔術で挑むしかないな……来いよ! ユタラプトルもどきッ!!」


 俺はビガラプファングの前に立ち盾と槍を構える。


「グギャァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」


 鼻腔から吸い込んだ空気で、鼓膜が破れそうな程の大音量の咆哮を上げ、同時にラプファングと同じく頭部に付いている。大きな冠羽を逆立てて威嚇してくる。


 一瞬怯んでしまうが、そんな小さなことに構っている余力などはない!! 田舎のライブハウスで聞いた爆音と大差ない。


「その程度かクソトカゲ!! ファストアタック、ファストスピード、ファストガード、ファストガードマジック」


 俺は少しでも魔力を温存するために、上昇させるステータスを魔術攻撃力を除くパラメーターに制限する。

 今必要な事はコイツを倒す事ではない。コイツを退却させ拠点を守る事で、次点でコイツを倒す事だ。 


 今必要なのは俺を脅威だとコイツに認識させる事だ!! だから威力などいらない必要なのは速さだ!


 俺は腰を落として高速の付き攻撃をイメージする。


「『疾風突き!!』」


 度重なる実験によって、この世界でゲーム時代の攻撃系スキルを発動させるには、強く念じる。それが出来ると言う風に信じる必要がある事が判明した。

 人間は未知なものに立ち向かったり、恐れたり、利用したり、敬ったりするときにはある事をしてきた……そう名前を付ける事だ。スピリチュアルな話になるかもしれないが、日本人にとって名前とは文字と音に両親の願いと文字自体に意味がある。

 言霊と言う言葉があるように言葉には、文字には強い力……この場合にはイメージの固定化と言う力がある。だから技名を叫ぶことでイメージを補強しているのだ。


 緑光色に光る穂先は、ユラユラした残像とエフェクトを煌めかせ、ビガラプファングにまるで吸い寄せられるように迫っていく……


グサッ!


 槍の穂先は見事にビガラプファングの眼球に突き刺さるが、ビガラプファングは身をよじって槍を引き抜く。


「タフと言うか随分と戦い馴れてやがるな……」


 ビガラプファングは低い唸り声を上げる。


 チャンスだな……


「フラッシュ! エアボールバースト! 『叩き落し』!」


 先ずは閃光魔術で相手の目を潰し、正面から側面に回り込むとそのまま槍を、風魔術で生じさせた風球を爆ぜさせて、穂先を上方へ向けて吹き飛ばしながら柄に刻まれた魔術ルーン文字によって伸ばし長を稼ぐ。


 コレは槍……その中でも長槍の集団戦術である上方向からの叩きつけ攻撃を攻撃スキル化したもので、高い破壊力と速度を誇るものの攻撃に移るまでのモーションが隙の少ない槍の技の中では、長い部類であるためダウン中や相手の隙を狙って攻撃する大技……いわゆる必殺技だ。


 茶光色の魔力光を光らせた穂先が、眼球から抜いたままの上向きの状態で上昇し、ビガラプファングの高さ約2メートルを超えて上昇する高さ凡そ7メートルまで上昇する!! 


 織田信長の軍が用いた長槍は時期によって異なるが 、三間(約5.4m)ないし三間半柄(約6.3m)の長さにしていおり、これは世界史の授業で習う【重装歩兵密集陣形ポープリテス・ファランクス】とほとんど同じ長さである。両者共に突き攻撃よりも質量加速を用いた叩きつけを、主な攻撃手段としておりこれはファランクスが大盾を持っている事が、何よりの証明になるだろう。

 当然これ程の長さの長槍は、訓練していない兵士では槍を持った方が弱いと言われるが古代オリエント・ギリシア世界や、織田信長のように職業軍人である貴族や騎士、武士を用意できるのであれば十分に扱える範囲の長さだ。


 そしてその高さから放たれる重力加速と、槍のしなりによって槍の柄の部分はムチのように強くしなるのだ。


 そしてその威力は……鋼で作られた鎧兜を叩き壊し骨を砕くと言われている。


 当たるのは正直に言ってどこでもいい……例えば背骨を砕き神経を圧迫・切断すれば半身不随、よくても背骨の間の緩衝材が潰れて神経を圧迫し激痛で動けなくなる。


「人類の英知と技によって死ねよ! クソトカゲ!!」


 ヒュウヒュウと言う風切り音を立てて、まるで平仮名の「ノ」の字のように強くしなっている。


刹那!


 槍の穂先がビガラプファングの胴体に激突し、ゴギュリと言う嫌な音が鳴る。


 ビガラプファングは、絶叫を文字に表せないような上げ槍の衝撃によって左側に横転した。


「勝った……」


 俺は極度の緊張と達成感によって腰が抜けて、その場にへたり込んでしまう。

 緊張とストレスによって元々汗でベタベタだった体は、足の裏や手のひらまで汗でびしょびしょになっている。

 脳汁がドパドパ出ているのが分かる程に、高揚感と多幸感を強く感じテンションがおかしくなっている。

 動けるようになったら戻らないと……その前に今見つかると不味いので魔術で風の球体を作り匂いを封じ込める。欠点は少し肌寒い事だが今の火照ったカラダには丁度いい。


──『レベルアップ』



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名前 シャオン 


種族 ハーフエルフ 


ジョブ 槍使い Lv11 ←【レベルUP】


次のレベルまでの必要経験値xxx 


スキル 


【槍術】 Lv5 ←【レベルUP】


 →槍や棒状の武器を使用する際にステータス補正


・【疾風突き】 Lv4 ←【レベルUP】


 →目にも止まらぬ素早い動きで、先制して敵を貫くが素早さの分威力が低下する。※スキル熟練度で効果が向上する。 魔術属性『風』物理属性『刺突・斬撃』


・【突進突きチャージランス】 Lv1


 →槍を構えてスタミナの続く限り速度を上げ当て突撃する。移動能力が上昇する代わりに、視野と旋回性能が低下し距離が開いているほど威力が上昇する。※スキル熟練度で効果が向上する。魔術属性『風』物理属性『刺突』


・【盾殴打シールドバッシュ】 Lv1


 →盾で殴る事で脳震盪……混乱または硬い装甲を破壊する事がある。※スキル熟練度で効果が向上する。


・【叩き落し】 Lv1 ←【NEW】


 →少しのため時間が必要だが攻撃力が少し上昇し、敵単体にかなりの間、防御力が低下する異常状態『破硬1』を付与する事がある。※スキル熟練度で効果が向上する。 魔術属性『風』物理属性『打撃・斬撃』


・【薙ぎ払い】 Lv1 ←【NEW】


 →槍の柄の長さを含くむ距離の敵に全体攻撃をするが敵に当たれば当たるほど威力が減衰する。※スキル熟練度で効果が向上する。 魔術属性『風』物理属性『打撃・斬撃』


【剣術】Lv1


【盾術】Lv3


【鑑定】Lv1


【魔術】 Lv3 

 

【召喚魔術】Lv2


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============


【あとがき】


まずは読んでくださり誠にありがとうございます!


読者の皆様に、お知らせと大切なお願いがあります。


本作が週間総合ランキング385位、週間異世界ファンタジー231位になりました。本当にありがとうございます。


少しでも


「面白そう!」


「続きがきになる!」


「主人公・作者がんばってるな」


そう思っていただけましたら、


作品フォローと★星を入れていただけますと嬉しいです!


つまらなけば星一つ★、面白ければ星三つ★★★で構いません。


読者の皆様が正直に、思った評価で結構です!


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作者のモチベーションが上がって最高の応援となります!


感想やコメントだけでも構いません。「ここがダメ!」「ココがいい」などありましたら書いていただけると次回作や今作の修正をする場合があります。


そうぞ、よしくお願い致します。m(__)m

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