第50話パーティー準備とロシルド家の紫紺の黒姫




 翌日俺は兄に質問をする事にした。


「イオンお兄さまパーティーの準備なんですが、どのようにすればよろしいでしょうか?」


「そうだったなお前はあまりパーティーに出ていないから仕方がない。

ふむ。説明しようパーティーには幾つかの型がある。一

つは立食形式のカジュアルなもので主に歓談を楽しむタイプだ。

大体後にダンスをする奴だ」


 確かに踊った記憶がある。年頃の近い娘さんと踊ったが付け焼刃のダンスで恥をかかなかっただろうか? と今思い出すだけでも不安になる。


「もう一つは食事を主にするタイプで、これは収容人数が激減してしまうものの、誰が何を言ったのかがとても把握しやすいモノになる。

他にも幾つもあるが食事を伴うものはコレだ」


「イオンお兄さまは、どちらにするべきとお考えですか?」


「先ほども伝えた通り、料理人を招き少人数に絞ったディナー形式を取るつもりでいた……しかしこのハンバーガーと言う料理は口元が汚れはするものの、包み紙を使う事で手を汚すことなく食べる事ができ通常の立食パーティーでは、パン以外の主食は出しにくく。皆、ワインやビール、果実水と焼いた牛、豚、鳥肉を摘まむていどだったがこれなら肉、野菜、パンを食べる事が出来る」


「なるほど悩んでおられるのですね。ではこうしては如何でしょうか?」


 俺はイオンお兄さまにこう提案した。


「両方やりましょう。この時期は多くの大貴族は王都におります中小の貴族もある程度は来るはずです……」


「具体的な線引きはどうする?」


「公爵、侯爵、伯爵と特殊爵位の方までをディナーに、子爵、男爵、騎士爵までを立食パーティーにご招待します。立食パーティーの開始時間を少し早めに開始し、ディナーのお客様が到着していただいた段階で、イオンお兄さまのご挨拶を賜り、暫し歓談その後ディナーへと移っていただきます。こうすれば多くの人を収容できイオンお兄さまの御威光を知らしめることが出来るかと……」


 簡単に言えばどうせ来る有象無象を先に相手し、財力と武力を相手に目に見える形で見せ、上位貴族が来たところで正式な挨拶をする事で、格の違いを改めて知らしめることが出来る。

 上位貴族には下位貴族がこんなにも賛同しているのか? と思わせることも出来き、旗色を伺う風見鶏や反体勢力をあぶり出しやすくなる。


「そうだな。小さく切り崩す事も大切だが今は多くの協力を取り付けねばならん。冒険者と移民が必要だからな」


 とにかく人材は多い方が良い。


「肉盾は多い方が俺も安心です」


「冗談が上手いなもう少し着飾った言い方も出来るだろうに……」


 冗談ではなく。現地の冒険者や商人を相手に物量で押し切ろうとしているのだ。間違いなく俺の命が狙われるだろう……


「では、「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」……いかがでしょう?」


「綺麗に着飾れるじゃないか……人徳高そうな領主がいいそうな言葉だ。俺もどこかで使わせてもらおう」


 甲斐の虎。武田信玄の言葉だ。人材こそが強固な守りになる。情けは人心を繋ぐことが出来る。しかし仇が多ければ結局は国を滅ぼす事になることになってしまう。と言う意味の言葉であり、言葉通り使った俺の言い方は誤用である。


「人を集めると言うと……リソーナ様の方はどうなっていますか?」


 俺の質問にイオンお兄さまは頭を抱えた。

 どうやら俺の腹違いの妹で、イオンお兄さまと同じ腹の正妻の娘は優秀らしいのだが、重度のひきこもり……(と言うには仕事はしているようだが)……らしい。

高位の冒険者や雇いたい人材にも使いの者と手紙、それに金だけで交渉を進める傾向があるらしく達成率は予定通りなモノの、兄曰く「奴め俺の手が届かないからと上手く手を抜きをって……このクズがッ!」との事らしく近日中に飛竜車を飛ばしリソーナを迎えに行くようだ。




………


……




 ――――で、今日はその問題の妹リソナ・フォン・ロシルドがこの屋敷に来る日である。

 四頭立ての飛竜が庭に着陸し暫くすると、ドアが開いてメイドが下り、主人の手を取り下車を手助けする。


 下車した少女に俺は強い庇護欲を覚えた。


 紫紺よりも深く黒に近いダークパープルの艶髪は、肩より少し下まで伸びており、150㎝にも満たない背丈のせいか、綺麗系の整った顔立ちながらカワイイも表現したくなる。そんな雰囲気だ。フリルが多めな黒いドレスを着ておりの記憶にあるリソナかのじょも、そう言えばこんな衣装を着ていたなと少し懐かしさを感じる。


「イオンお兄さま。招集に応じ馳せ参じました……しかし私は任された仕事はこなしているハズですが……」


 リソナは心の底から面倒くさそうに、イオンお兄さまの対応をする。


「リソナ会えて嬉しい。仕事の話は食事の時にでも……先ずは父母のいない所で兄妹の友好を暖めようじゃないか?」


(意訳。妹よ俺の命令通りキチンと来たようだな。仕事の話は後でたっぷりとしよう。そのついでに教育してやるよ)


 ――――と言っているようにしか俺には聞こえなかった。


「友好を暖めるのは下の兄だけで十分です。

クズが多いロシルド家のなかで、長兄はマシな方ですが……兄弟愛と政治を切り離せない時点で私としては終わってます」


「むッ――――」


 気にしている所を突かれて、イオンは声にならない声を上げる。

 そんな兄を見てニヤリと笑うと俺目掛けて擦り寄って来る。


「下の兄もお久しぶりです。お元気でしたか? 妹は長兄に仕事を押し付けられて大変でした。これも全ては下の兄のため……妹は全力で力になります」


 その晩 俺達ロシルド長男家兄弟は兄弟愛を確かめ合い、パーティー当日まで準備に取り掛かった。



============


【あとがき】


まずは読んでくださり誠にありがとうございます!


読者の皆様に、大切なお願いがあります。


本日18時頃から新作現実世界恋愛モノでタイトルは、【知らなかったけどどうやら俺には、許嫁がいたらしい。でも俺には心に決めた女性がいるので、結婚する気はありません。俺の望みは平穏な高校生活だ! だからこんな青春は間違っている!】

です。こちらを投稿いたしますので、よろしければそちらもご覧ください。書きたくなって書いたのですが、最初の2話は自分史上最高の出来栄えだと思っています!


 【ユーザーフォロー】をしていただけると、通知が行くようになるで、よろしければご活用ください。


少しでも


「面白そう!」


「続きがきになる!」


「主人公・作者がんばってるな」


そう思っていただけましたら、


作品フォローと★星を入れていただけますと嬉しいです!


つまらなけば星一つ★、面白ければ星三つ★★★


読者の皆様が正直に、思った評価で結構です!


広告バナー下から入れられます!


作者のモチベーションが上がって最高の応援となります!


そうぞ、よしくお願い致します。m(__)m

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る