第1話-④ 快挙

スクリーンにうつされたのは、

人ならざるもの背中せなか 怪物かいぶつの背中だ。


はだから鉱石こうせきのような突起とっき無数むすうえ、

あお背骨せぼねのようなものがき出しになっている。



埋込型うめこみがた人造兵器じんぞうへいきほしだ。アストラがゆうするこの兵器へいきは、いとも簡単かんたん大地だいちを…いのちはらいわれわれの未来みらいごとうばろうとした。

 だが…」


男は8本のうち1本のマイクに口元くちもとちかづける。



「もう心配しんぱいない」



男は運営側うんえいがわ合図あいずを出す。


すると数人すうにんのガタイのいい警官けいかんとともに

あたまからぬのかぶせられた何者なにものかが競技場きょうぎじょうされる。


「…布を取れ」


軍服の男がみじか指示しじすると、

警官けいかんがその誰かのあたまぬの強引ごういんる。


中年ちゅうねんの男性だった。

随分ずいぶんなぐられたのだろうか。かおれあがり、さるぐつわをまされ、目はうつろだ。



「…こいつはアストラ。アストラのリーダーだ」



三領域全域ぜんいき衝撃しょうげきはしる。


まさかあのアストラが…!?つかまえたのか?



「アストラは昨夜さくや瓦解がかいした。

   …そして今日こんにちこのかぎりで消滅しょうめつする」


軍服ぐんぷくの男がアストラのあたまじゅうかまえる。



「え…-」





ドンッ


 発砲はっぽうおんとともにアストラはあたまからたおれる。





あたりは静寂せいじゃくつつまれ

晴天はれもと、今 世界の宿敵しゅくてきが消えた。





「………………う」


「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


大歓声だいかんせいこる。



とう感性かんせいつならばあじわうであろう

倫理りんり」「恐怖きょうふ」「軽蔑けいべつ」「喪失そうしつ」そう言った諸々もろもろ感情かんじょうり、人々は雄叫おたけびをげた。



目の前の一部いちぶ始終しじゅうはどうであれ、

おおくのいのちうばい、多くの人のこころえないきず背負せおわせたあくたおした。


    まぎれもなく快挙かいきょである。

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