第4話ー③ リタ
リタは前屈しながらソウタに話しかける。
リタは、ソウタの数少ない友人だ。
がっしり引き締まった身体に似つかわしくない丸顔がちょこんと乗っている。
リタいわく、「顔から太るタイプ」らしいが、その鍛えようがないゆるゆるの表情筋は、彼の朗らかな性格によるものだとソウタは思う。
「…朝、散歩してたらウリボー教官に捕まった。たまには訓練でないと怪我した時に困るぞって」
「ダサ!怒られてやんの!」
リタは明るく一笑する。
「リタ、交代」
「ん」
今度はリタがソクタの背中を押す番だ。
ふと、リタが小声でソウタに話しかける。
「でもさ、お前昨日式典もサボったろ?」
「…」
ソウタは固まる。
そんなソウタを面白がるようにニタニタ笑いながらリタは続けた。
「バレてんぞ」
「黙っといてよ。母さんの墓参りにいってたんだ」
リタは期待していた返答と違ったのか、薄く「ふーん」と反応する。
「まあ、式典の時ぐらいしか学園の外に出られねぇからな。でもよく抜け出せたな?な、どうだった?」
リタはソウタの背中に覆いかぶさった。
リタの身体は思いのほか重く、ソウタはカエルの鳴き声に似た情けない声を発する。
「ふぐっ!?…どうだったって散ざー」
ソウタはリタを睨みながら正直に答えようとしたが、ふと昨日のメラナの言葉が引っかかるー
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