第4話ー② 祖母とは

気が遠くなるほどの青空。

ソウタは亡き祖母との会話をぼんやり思い起こす。


ソウタの記憶の中では今でも、

彼女は朝から晩まで喋り続けている。


祖母は晩年ばんねん、歩くことこそできなくなったが、

彼女の繰り広げる冒険談はまるで手を繋ぎながら世界を駆け走るかのような臨場感があった。


きっとその時の情景じょうけいをはじめ匂い、触覚まで事細かに祖母が説明してくれたからだろう。


「エリーは私にこう言ったのさ。だけど私は頭を抱えた。ソウタは、彼がどうして私にこんなことを言ったのか分かるかい?」


度々たびたび降ってくる祖母の質問は、答えるのにとても骨が折れる。それでもソウタは祖母との会話を終わらせたくなくて必死に考える。


「んー…んーと、ばあちゃんがさ、エリーさんの友達に、に、似てたのかなぁ?」


ソウタがしっかり答えを出せた時は決まって、

祖母は「なるほどねぇ」と遠い目をした。



           ☆


ソウタは昨日からろくに寝ることができなかった。

無論、寝不足の原因は昨日の出来事であり、頭にぴたりと張り付き離さない。


「珍しいな」


今は2人1組みでストレッチをしている。


ここは連合立第一軍学園。

三領域連合会が運営する軍事機関であり、候補生こうほせい育成施設だ。

ソウタは陸上課の早朝演習に参加している。


「ん?」


「お前が朝練に参加するの。陸上科りくじょうかの演習すら、ほとんどサボるのに」

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