第4話 反発

第4話ー① 回想

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おぼろげな記憶だ。



陽光ようこうが優しく窓ガラスに差し込み、虹の木漏れ日が寝室に降る。ベッドにいる祖母の白髪にも光が映り、顔がよく見える。


今日は少し疲れてそうだ。


弱々しいが微かに笑みを浮かべながら、祖母は何やらペンを動かしていた。


僕は朝食のスープがこぼれないように慎重におぼんを運ぶ。祖母が大好きなキノコのスープ。


やがて祖母も僕に気がつき、書く手を止め、僕の危なげな配膳はいぜんを静かに見守ってくれる。


ベッド横のサイドテーブルに何とかおぼんをせた。


「おはよう!ばあちゃん!」


「おはよう、ソウタ。今日もありがとう」


祖母はそう言って僕の頭をでてくれる。


「何してたの?」


僕は描きかけの紙を指差した。


「ボケ防止さ。意味なんてないの」


祖母は穏やかに答える。


僕はベッドのそばまで椅子を引きずり、祖母の横に座った。


「…ねぇ!今日もお話しして?」


「ふふふ、好きだねぇ。そしたら今日は、ばあちゃんのお母さんから聞いた話をしようか」


「ばあちゃんのお母さん?」


僕は指折ゆびおかぞえようとした。


「今から95年前の話だよ。」


ばあちゃんは僕の計算が終わらないうちに頭をでながら言う。


「ばあちゃん、産まれてないね!」


「そうだね。ばあちゃんもソウタの父ちゃんも知らない

      …昔の世界の話だよ」



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