第3話-⑤ 封印完了

すると、メラナから少し離れた上空に黒い稲妻いなずまと5枚の鉄札てつさつ、赤い球体が出現する。


その真下には、アイゼンと2体の星の子。


アイゼンは腰を低く落とし、鈍く光る刃を自らの左腕に押し当て、真一文字まいちもんじの赤い線を引く。

鉄札てつさつはアイゼンめがけて急降下きゅうこうか。メラナの血で赤く染まった刃からチラチラ火花が散らつかせ、アイゼンを仕留しとめようと落ちてくる。


対して、アイゼンはじていたまぶたをゆっくり持ち上げる。右手首みぎてくびひねり、刃についた血で美しい円を描いた。


「洗い出す。花散るにえに」


血の円が地面に落ちて焼き付く。

その衝撃でアイゼンの足元の星の子2体も浮きあがる。

アイゼンは落ちてくる鉄札てつさつと星の子3体まとめて斬りつける。


(っっおっも…!)


通常星の子を1体を封じただけで、30分は動けなくなる。メラナの援助があるはいえ複数体同時での封印は無謀むぼうだった。


「怖がらなくていい」


アイゼンはメラナの言葉を思い出す。


(…怖がってる暇なんかないっすよ。振り切らなきゃ、アンタに殺られる…!)


アイゼンはかたなを握りしめる。渾身こんしんの力で鉄札てつさつと星の子を幾重にも斬りつけた。


「おおおおおりゃああっ!」


やがて鉄札と星の子は粉々に砕けた。花びらのようにヒラヒラとアイゼンの周りを漂う。


「染まれ」


アイゼンがそうつぶやくと、きらめいていた残骸ざんがいが渦を巻き、一つの赤い球体となってドスンと地面に落ちた。

同時にアイゼンもその場にくずれ落ちる。


「アイゼンさん!」


ラウが駆け寄る。

アイゼンはヒラヒラと右腕を上げ、そのままメラナに通信を繋いだ。



「…こちらアイゼン。封印…完了です」

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