第2話-⑧ 警察隊

「お待たせ。報告の続きを」


「こちらアンバー、アストラ1捕獲」

「こちらリッキー、同じくアストラ1捕獲」


確認できたアストラは三人。

あと一人は警察隊最年少のラルが追跡中。


しかしラルから応答がない。


「… ラル?大丈夫?」


流石のメラナも焦る。

ラルは警察隊に入って日が浅く、研修も明けたばかりだった。


メラナは待機中の隊員に増援をかけようとした時、ようやくラルから報告が入る。


「っ、こちらラル!アストラは捕獲しましたが羽化前の星の子2体を確認。応援を要請します!」


メラナは安堵のため息をグッと抑える。


「よくやった。周りに人はいる?」


「目視では確認できません。位置情報送ります」


ピピ。

メラナの手元の時計型の液晶にラルの位置情報が受信される。

メラナが立っている場所から600メートル。

ギリギリ警戒範囲の外だった。


メラナは通信機の発信先を護送車に切り替える。



「アイゼン、車はそのままでいいからラルについて。リッキーとアンバーは警戒範囲内まで上がりなさい」



「こちらアイゼン、了解ぃ」

「了解ぃ」

「了解ぃ」


アイゼンの少し気の抜けた応答を真似て、

リッキーとアンバーも応答する。

メラナの口角は少し緩んだ。


車内のアイゼンは吸っていたタバコを咥えたまま、マイペースに支度する。


「とぉ…1分後には着きます」


「武装を許可する。武器を持ちなさい」


メラナが念を押す。


「了解」


アイゼンは車から降り立ち、次の瞬間、弾丸のように走り出した。

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