第2話-⑦ どうして…?

「…僕はー」


ソウタは素直に握手に応じようとするが、セティの足元にある救急箱に気がつき、思い出した。


「め、…メラナが…怪我けがをしてるんだ…っ右手!僕をかばってー」


「…え?」


セティはすぐさまメラナを見る。


先ほどの星の子との対戦で、

星の子の首筋に鉄札てつさつねじりこむ際、

メラナは鉄札てつさつの刃ごとにぎりしめていたのだ。


メラナはこちらに気づくが右手をシッシと振る。確かに真っ赤に出血している。


「手当しないと!」


ソウタは懸命けんめいに救急箱を指差す。

セティは唇をみ、やがて首を横に振った。


「まだ、ダメなんです…星の子を完全に封印できるまでは」


セティは申し訳なさそうに説明するが、

ソウタは何ひとつ理解できなかった。


「…??怪我けが…してんだよ?手当てしないと…」


ソウタは立ちあがろうとする。

が、その前に素早すばやくメラナがソウタに命令する。


「待機命令だ。第一軍学校候補生 佐義さぎソウタ」


ソウタは動きを止めた。

メラナのするどい目線が刺さる。


「私の心配はするなと言ったはずだ。君は保護対象だが、妙な真似まねをするのならこの場で始末する。…動くな」


ソウタは何も言えなくなった。

うつむきその場で座り込む。

セティは気の毒そうにソウタのそばにつく。



メラナはソウタが大人しくなったことを確認し、任務に戻る。

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