第5話ー④ あの頃

「…………え」



「僕を、警察隊に入れてくれないか?」


メラナは驚いていたがすぐに、その戸惑いをポーカーフェイスで覆い尽くす。


「…ソウタには警察隊に協力する義理はないんだよ?」


「父さんは無罪だって証明したいんだっ!」


大きい声が出てしまった。

メラナは少し表情を崩す。明らかに動揺している。


「捜査資料とか…あるんだろ…?」


「………」

メラナは何も答えない。


「…父さんを殺した警察隊なんかに協力したくないけど…せめて、真実を知りたいんだ。だから警察隊に入る。このまま逃げるのは嫌だ」


メラナはとうとう顔をしかめた。

少し考えて、ため息をつきながら応える。


「わかった。先生を無罪にするのは私がやる。ソウタは安全な場所に…」


「違うよ、無罪にするんじゃなくて、無罪を証明するんだ!」


「っ…!」


ソウタはメラナの両腕をつかむ。

ソウタは必死に訴えた。


「違うよメラナ。父さんはぁ、星の子作ってないんだよっ!」


メラナは黙って聞くしかない。


「金とか権力とかで無罪にしたって、父さん浮かばれないよっ!証明するんだ…父さん悪くないって。全部全部アストラが悪いって

俺が証明してやるんだっっっ!!」


いつの間に出てきてた涙が視界を滲ませる。



「……いたい」


しばしの沈黙の後メラナはポツリと言った。


ソウタはハッとする。

メラナは両腕に怪我をしていることをすっかり忘れていた。


「ご、ごめんっ!」

ソウタはすぐにメラナを放す。


「はぁぁあああ……」


メラナは盛大なため息をついてその場にゴロンと寝転がった。


「警察隊ねぇ…」


メラナはうーと唸りながら素早く携帯を動かす。


「もぉしもーし?あなたの部下メラナでーす。

佐義ソウタは入隊了承しましたぁ。配属先はヒヒルのとこだから。手続きよろしく。え、ヘデン?

昨日大喧嘩したから無理。はい、はーい」


メラナは終始ゴロゴロしながら電話をしていた。

フーと息を吐いてソウタに報告する。


「入隊完了。これでいい?」


メラナはおきあがりこぶしの如くクルリと起き上がる。


「えっ…う、うん」


なんともあっさりした入隊だ。



「警察隊、特に特部うちは完全スカウト制だからこんなもんよ。じゃあ…」


メラナはニッコリしながら手を差し出す。


「よろしくソウタ」

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STAR SPiNE〈5分読了版〉 宮端 海名 @miyahata_umina

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