この作品は、設定の奥行や世界観の地盤の硬さが顕著に現れていた。
ライトノベルか?と言われれば、そうでは無い。
全くライトではない、ヘヴィだ。
物語もキャラも色濃く、僕と同じ感性を持つものなら、高価でバカでかい肉塊にかぶりついたような満足感が得られるだろう。
ただ、この作品にはその重厚さが表に出ているため、コメディな要素などは多少削られている。
故にライトノベルを求める人には、読み明かすのは厳しいかもしれない。
だが、考えても見てほしい。
この作品から、そういった設定の濃さを突き詰めた物語を読んでみるのも、また一興ではないかと。
僕はそう考え、あえてこうレビューを残そうと思う。
是非、手に取ってみてほしいものだ。
冒頭ではヒロインを救うヒーローという王道を押さえながら、展開する世界は教会が絡むダークめのシティアドベンチャー。
陰謀渦巻く狭き世界の中で抗う主人公たち。
闇を打ち破るべく彼らは戦い、その中で交わっていく人々に因って世界が徐々に広がってゆく。
更に章を追うごとにその世界は完全に開かれ、開闢の瞬間に立ち会えるドラマチックなストーリーだ。
………では前半は「ダークファンタジー」なのか?
否、それは飽くまでシリアスな物語を展開するためのエッセンスであり、一概には言えず。
丁寧な背景の描写は立体的に描かれ、リアリティーさえも享受させてくれる作者の美しい文体には只管と舌を巻くばかり。
一文一文が世界に「色」を与えてくれる本作は、個人的にだがヴィヴィッドに新たな王道を構築したファンタジー作品であると思う。
今後の新たなステージでも彩られたものになることが期待できる作品だ。
作者はすごく書き慣れた感じで書いているので、基本的に読みやすいです。
物語は、騎士や枢機卿がいるファンタジックな世界観に、元素やエーテル、汽車といった近現代の科学がすこーし入った設定。そこで連換術師が活躍する冒険譚。
全体の雰囲気として、ダーク・ファンタジーとライトノベルの間くらい。重くもなく、軽くもなく。
キャラクターたちも多彩で、すこしヒロイン過多め。
筋運びも無理なく、わかりやすい。長い解説も少なく、全体として綺麗に描かれた印象です。エーテルや連換術といった独自の設定もあって個性的な個性的な部分もあります。
ただ、この綺麗に書けている部分が逆に、ぶっとんだところのない、あるいは、とんがった部分がないと、評価する読者もいるかもしれません。
本作は、綺麗に書かれた良作です。欠点があるとすれば、綺麗すぎるところでしょうか。
「生誕祭編」を終えた魅力を伝えていきたいと思います!
エーテルを行使して元素の力を行使する技術を自在に扱う者。
「連換術師」
マグノリアに住む青年グラナは、シスターの少女が襲われているのを助けるところから物語が始まるのですが、風の連換術を使うシーンだったり、回し蹴りを相手に叩き込む体術にはカッコよさがあり、ファンタジーとバトルマンガを組み合わせたような感覚の作品だと感じました!
それに魅力的なキャラクターが多くて、どのキャラも目が離せない。
独自のオリジナル描写、設定がとにかく細かく、なによりグラナがカッコいいんですよねーっ!!
アニメのワンシーンを見ているようで、とても楽しめますよっ!!!!