第3話-③ 無茶



メラナは電話を切った。

もう、手段を選んでいられない。(ライラがやらかしたせいもあるが)


(ならば…)


メラナは怪しげに笑い、通信機を動かす。


「ラウ、報告して」


「こちらラウ。アイゼンと合流。いつでも戦闘態勢に移行いこうできます」


ラウの報告に対し、メラナは申し訳なさそうに答える。


「あーごめん。破壊許可が取れなかったんだ。星の子は持ち帰るよ」


「え?」


ラウと一緒にいたアイゼンが頓狂とんきょうな声を出す。

アイゼンは割って入る。


「んん!すいやせん。しかし司令、星の子は2体です。同時封印は無理です」


メラナは目を閉じて一呼吸ひとこきゅうおき、ゆっくりしゃべり始める。


「…今日が式典で良かった。街にほとんど人がいないからこれが試せる」


メラナは先ほど使った武器を片手でもてあそぶ。



「…!っ完成したんですか?」


アイゼンは察した。


「ハナフダに急ぎ仕上げさせたの。さっき使ってみたけど、性能は十分。貯金がまだあるし共同封印ならギリできる」



セティはソウタの方に置いていた手をひくつかせる。わずかだが、セティが怒っているのことにソウタは気づく。



「アイゼン!」


「っはい!」


メラナは再び半円状の武器を取り出す。今度は一枚の帯のように連なった鉄札てつさつが出てきた。


「怖がらなくていい。瀉血しゃけつは一体分でいいわ。合図したら3体まとめて切りなさい」


「………………3?」


アイゼンは一音も聞き漏らすまいとメラナの指示を聞いていたが、途中引っ掛かる箇所かしょがあった。

しかしメラナはもう止まらない。


「くっつき、赤短あかたん青藤島あおふじしまー」



メラナの足元に落ちていた鉄札てつさつの帯が、声に反応してメラナの周りを囲うように揺らめいた。

まだ鉄札てつさつは黒いまま。


「…頼むよ」

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