第5話ー② 在永西行
「それは…
僕が昨日星の子を見てしまったから、
…ですか?」
「ンー…平たく言えばぁ…そうね」
苦笑いを浮かべてメラナは少し首を傾けた。
(警察隊…)
無論、三領域連合警察隊は候補生であれば誰でも一度は憧れを抱く存在。
軍学校卒業後の進路は4割は各国軍組織、5割は非軍事団体、残り1割がいわゆるエリートに属し、政界で活躍している先輩もいる。
だが、警察隊へ入隊できるのはそのエリートの中でもほんの一握り。
ソウタが通う第一軍学校でも、警察隊になった先輩は片手に収まるほど。
就職先としては申し分ない。
しかし、ソウタにとっては身を切られるほど苦しい選択だ。
「見られたから関係者にしてしまうってだけの話なら私が反対してた。危険すぎるからね。
…ちょっと」
メラナは再び座り直す。
そして目の前の地面を軽く叩いた。
ソウタはしぶしぶとメラナの前に座る。
「もっと近くに」
メラナはソウタと距離を詰め小声で話し出す。
「昨日の取り調べでね、ソウタの名前が出てきたの」
「……は?」
ソウタは頭が真っ白になる。
「どういうこと、ですか…?」
「犯人はソウタを誘拐しようとしてたらしい」
ソウタは必死に頭を動かす。
「……え!?アストラは死んだんじゃないんですか?」
「あら?アストラだなんていつ言った?」
メラナの瞳がランラン揺らめく。
「リーダーは昨日ちゃぁんと処刑さてたでしょ?」
昨日味わった殺意が薄く匂った。
ほんの一瞬だったがソウタは油断していて、サァと血の気が引いた。
もうそれ以上聞くのを -止めた。
メラナは低いトーンで「いい?」と呼びかける。
「誰がソウタを狙っていて、どうして星の子を持っていたのか、それはまだ調査中。
…でも佐義ソウタを
「…い、たで?」
メラナは一瞬まを取り、丁寧に答える。
「ソウタが狙われた理由だけど、あなたのお父さん、
ソウタは目の色を変えた。
瞼の裏から
「…父は関係ないはずです」
ソウタは平静を必死に保ちつつ絞り出すような声で反論する。
しかしメラナはキッパリ答える。
「いいえ、関係ある」
メラナは無表情で答える。
「…星の子を開発したのはあなたのお父さんだもの」
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