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君、運がいいね。其れは月世界から入荷した新商品さ
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床にころがるちいさな硝子星を少年の指先がつまみあげた
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こころにぽかりとあいた虚を埋める術を知らぬまま、"大人"になってしまった
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君が月の光にのまれないように
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これ以上、弟を喪うのは耐えきれなかった
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にいさん、と口にしたところで、誰のことか思い出せない
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物心ついたときから、彼女の背を追っていた
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君がいない世界なんて、考えたこともなかった
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僕たちはふたりでひとつの"星"だった
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僕のこころは擦り切れて、灰になって、それでもまだ息をしている
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ここは私の"聖域"だ。けっして、誰にも触れさせはしない
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君の大切なひとは、誰
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お前、ここで死ぬのかい
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玉座でほほえむのは、"どちら"なのだろう
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約束をしたんだ。君のためにうつくしい花を咲かせよう
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星のいのちの灯火を繋ぐためには、贄が必要だった
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僕はこの楽園から飛び立つことはできない
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手の中で輝くアクアマリンは、花売りとして売られた、ちいさなこどもだった
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素肌にガウンを羽織っただけの姿で現れる花売りは、聖域を踏み荒らす
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綺麗だろう。これからもっと良い鉱玉になる
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お兄さん、名前を教えてよ
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これが最後だね、とは、言い出せなかった
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僕がいなくなっても、泣かないでね
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君のカルサイトは、まるで生きているみたいだ
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身体の内側からひび割れる音がする
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僕の手は何度でもきみを寝台に引き戻す
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あなたの"愛"が、僕を狂わせていく
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侵食が進めば、もう二人ではいられない
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あなたが覚えていてくれて、……よかった
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一番星の核があれば、どんな願いもかなうのだと思っていた
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夜天のかけらを前に、シリウスの手は止まっていた
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では、月世界のゲートを開きましょうか
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俺が鉱玉になったら、先生のコレクションにくわえてよ
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あなたと過ごせて、しあわせでした
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金紅石の降る夜に兄弟ごっこは始まった
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あのとき、星の海に飛び込まなくて、よかったなぁ
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あたらしい年のはじまりに、ささやかなお祝いをするの。あなたにも来てほしくて
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星の核を食べるなんて、どうかしてる
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シリウスの核の損傷は激しく、何百年も眠りについていた
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塔の頂に辿り着くことができれば、僕たちは大人になれるんだろう
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たいせつなものは閉じこめておかないと
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愛されたいと願っても、この両手は届かない
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君、すこし、雰囲気変わった……?
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あわい菫を宿した指先が最後のひとつを柩におさめた
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痛みを、共有したいのです
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レンズのせいで色合いが変わってしまうのだね。私は君の青い睛がすきだよ
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にいさんはどうしたいの
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何十年、何百年、何千年経とうとも、この庭園に終わりはない
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彼はいのちを燃やす花を弄び、そのかけらを喰らう
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気づいたら此処にいる。覚醒しているはずなのに、夢の中にいるようだ
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