お兄さん、名前を教えてよ
「お兄さん、名前を教えてよ」
アクアマリンの護符を譲ってから、花売りの少年は毎日地下室に現れるようになった。
透明なクォーツの欠片を砂糖菓子でも味わうかのようにかじっている。
「お前は人間種に会ったことがないのか」
「毎日顔を合わせてる」
「FK5907」
「なにそれ」
「人間種に与えられる記号だ」
2021/12/14
芸術都市の鉱玉師
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