あわい菫を宿した指先が最後のひとつを柩におさめた

声をあげて泣くことさえ許されなかった。変わり果てた"弟"の傍で祈りを捧げていた。鉱玉師たちが残骸を拾い集める。あわい菫を宿した指先が最後のひとつを柩におさめた。

「君は、まだ此処にいるのか」

「……嗚呼」

「核は無事だそうだ。無理はするなよ、デュモルチェライト。君が壊れたら悲しいからね」


2022/1/6

結晶庭園

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