これ以上、弟を喪うのは耐えきれなかった

カペラは僕に遺されたたったひとりの弟だ。旧世界が眠りについたあの日、決して手を離さないと決めた。冬の記憶は其処で途切れている。

「先生、カペラの容態は」

「そんな顔をしないでください、レグルス。核は安定しています」

先生の指先が僕の頬をなでる。

これ以上、弟を喪うのは耐えきれなかった。


2021/11/28

星満つるギムナジウム

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