君の大切なひとは、誰
「君の大切なひとは、誰」
蒼い粒子がシリウスの頬を撫でる。たしかに声が聞こえたはずなのに、振り返っても誰もいない。カノープスの灯りの気配も消えていた。
「僕に教えてくれると言ったじゃないか」
「……誰だ」
青い瞳が虚空を射る。
「忘れてしまったの。僕は、こんなに、君のことを想っているのに」
2021/12/5
星満つるギムナジウム
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