あなたが覚えていてくれて、……よかった

やわらかな感触がくちびるに触れる。砂糖をとかしたホットミルクよりもあまやかな香りに目眩がした。

「……大丈夫?」

「……ひさしぶりだから」

少年は寝台に腰かけ、ほうと息を吐く。

「にいさんと顔をあわせるのは」

形のよい指先が頬の輪郭をなぞった。

「あなたが覚えていてくれて、……よかった」


2021/12/22

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