君のカルサイトは、まるで生きているみたいだ

まるで月のように少年の記憶は欠ける。時が過ぎても、ふたたび満ちることはない。

「鉱玉が記憶を食べているんだ」

花売りのひとりが、意地の悪い笑みを浮かべる。彼はまだ初物だ。侵食の苦しみも、痛みも、わからない。

「君のカルサイトは、まるで生きているみたいだ」

「……気味の悪いことをいうなよ」


2021/12/17

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