第12話 体育会系女子

 今日も頑張るぞ!!

 俺は朝練前に、練習をする事にした。その為、今日はいつもより2時間早く起きた。



「じゃあ、いってきま〜す…」

 俺は親を起こさない様に小さな声で、家から出る。太陽はまだ出ていない。カラスやスズメの鳴き声が聞こえ始める。


「よしっ!!」

 俺は家を出て、100メートル程離れると大きな声を出して気合を入れた後、駅まで全力疾走した。




「はぁ、はぁ、はぁ…」

 俺は息を切らしながら、駅のホームにあるベンチへ座る。そしてバックからある物を取り出す。


「こういう少しの時間でも上手く使っていかないと…」

 俺はサッカーボールを足元へ転がす。


「まず、ボールの場所を足でしっかり把握しよう」

 俺は前を向き、足でボールを転がす。


 これを習慣化させれば、前を見てドリブルを出来る様になる筈だ。



「駅のホームでサッカーボールを出すのは、危ないと思うんですけど」


 俺がサッカーボールを脚で触っていると、1人の女子高生が話しかけてくる。


 制服は隣の高校の火山高校…。

 黒髪でポニーテール。ぱっちりと開いた目には力強さを感じる。可愛い系よりは美人系。ハキハキとしていて、スポーティーな感じが出ている。


 そして俺は、その圧倒的な陽キャ感に身体が固まっていた。


 ヤ、ヤバい。怖すぎる。


 ボ、ボク、インキャ。ハナセナイ。

 固まっていると、陽キャ女子が俺の顔を覗き込んでくる。


「えっ!?!?」

 大きな声で驚いた様な声を出して、俺のまた鼻の先には女子の顔があった。


 な、なに!? 近い近い近い!!!

 俺はその女子から離れようとすると、女子は俺の肩を掴む。


 ひぇっ!!


「あの、」


 し、死んだ…。


「良かったらでいいんですけど、次の日曜日にデートしてくれませんか?」


 ふぁ?

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