第21話 サッカーって体力大事

「何だお前は?」

 FWの外部コーチがすごい顔で此方に近づく。


「あ、あの監督から…」

「なんだ!! ハッキリ言え!!」


 こわっ! やばいよ、このFWコーチ。


「か、監督から今日からFWの練習に参加しろと言われました!!」

 俺がそう言うと、少し考える素振りを見せる。そして、


「ちっ! なら早く入れ!!」

「は、はい!!」


 何故か舌打ちをされ、練習に入った。



「お、入ってきた!」

 そこには今朝、渡辺キャプテンと話していた人がいた。


 八重歯を見せながら此方に近づいてくる。




 確かこの人は2年生でレギュラーに入ってる…


小野寺おのでら炎風えんぷうだ! よろしくな風裂!!」

 小野寺さんが手を差してくる。


「は、はい! よろしくお願いします!」

 俺は小野寺さんと強く握手をする。


「やっぱりFWに転向してきたか」

「やっぱりですか?」

「あぁ。前から監督に風裂をFWに転向させるつもりだとは聞いてたからな」



 そうなのか。監督は前から俺のことを…



「おい! お前ら!! いつまでそうしている!!」

 俺がコーチが眉間に皺を寄せながら、叫ぶ。


「やべっ! 風裂行くぞ!!」

「は、はい!」

 小野寺さんは走ってコーチの元へ向かう。俺もそれに倣い、走って行くが…



「おい!! 遅いぞ!!」


 ピッ!


 はぁ…はぁ…はぁ…

 なんだ、このダッシュは…。


「ほら! まだ行けるぞ風裂!」

 小野寺さんは少し汗をかきながら、俺に言ってくる。


 さ、流石レギュラーだな…。

 そ、そういえば俺が試合に出るにはこの人のポジションを奪わないと行けないのか…。


「小野寺ぁ!! もっと走れぇ!!」

「はいっ!!」

 小野寺さんの走るスピードが上がる。


 す、凄い。これがレギュラーか。

 ま、負けない!!

 俺も小野寺さんに負けないよう、走るスピードを上げる。



「お? 風裂! 速いな!!」

 小野寺さんが此方を笑顔で見てくる。


 はぁっ、はぁっ、はぁっ!

 こ、こちとらそんな笑う暇ないわ!!





「よし、終わって良いぞ」

 コーチが手を叩き、終了を知らせる。



 も、もう…ダメ…。


 バタッ

 隼人はその場で倒れる。



「…小野寺、そいつ部室まで運んでやれ」

「はい!」

 小野寺は隼人の腕を取り、背負う。


「…ふん。これだけで倒れるとはまだまだだな」

 コーチはそこから離れていった。

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