第22話 …仕方がなかったんだ

「ーーー!」


 ん? なんだ?


「ーーーーーー。ーーー室閉めるからなー」


 何か…聞こえる。

 俺は目を覚ます。


 空には月が登っている。起き上がると、俺の周りには自分のカバンやタオル、水筒等が落ちていた。


「あ、俺そう言えばダッシュが終わって小野寺さんに運んでもらって…」


 …そっか、寝てたのか。

 俺は急いでそこに落ちている物をかき集める。


 うぇっ、早く着替えないとこれは風邪引くな。


 俺はカバンから着替えを取り出す。


 とりあえず全部脱いでっと…。



 シーブリーズでも付けないと臭いな。

 俺はシーブリーズを身体へと振りかける。


 おー、いい匂いだ。

 俺は物陰で着替えながら、その匂いを全て嗅ぐ様に大きく深呼吸した。




 その時の俺は、この時間だ、誰もいないだろ。そう思って油断していたんだ。



 今は敢えてこの言い方をしよう。


 物陰でパンツ一丁の姿になり、白濁とした液が身体中に振りかかっている男が恍惚とした表情でそこに立っているのだ。



 この時の俺は疲れ過ぎて、普通の判断ができていなかった。


 ハッキリ言う。傍からみたらである。




「キャーッ!!?」




 え!?


 物陰からショートカットの髪をした、チアのカバンを持った女子が出てきたのだ。





 ◇



「よし! 今日も頑張ったぞ!」

 私は今日もチアリーディング部の部室から出る。

 部活終わりに先輩からキツイ柔軟もやってるし、毎日お風呂上がりは柔軟してる。

 大分身体は柔らかくなって、今ではY字バランスも出来る様になった。


 この調子で頑張って、いずれはセンターに!!



 私はもう他の部活も終わっている時間なので、意気揚々と部室棟の前を歩く。


「ふふっ、これもあの人のお陰だなぁ」


 あの人も今頑張ってるのかな…。

 あの時のグラウンドでの悔しがりよう…相当だったからなぁ。

 私はそんな事を思いながら歩く。




 そこでまさか…こんな再会をするなんて私は思わなかった。



「ッ!!?」

 そこにはパンツしか履いてない、何か白い液体が身体中にかかっている変態がいた。


「キャーッ!!?」

 私は反射的に叫んだ。

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