第23話 変態の仲間入り
「キャーッ!!?」
女子は手で顔を覆っている。
うぉーっ!?!?
俺はその一瞬、身体にかかったシーブリーズを素早く塗りたくり、そこから荷物を急いで取りに行く。
何でこんな時間に…ッ!?
バタッ!!
俺は、今日の練習の疲れか足をつまづかせ、四つん這いになる。
クソ! こんな時に!!
「…パンウサ?」
女子が俺の方を見て呟く。
ぱんうさ…? はっ!!?
そうだ!!? 俺の今日のパンツはパンツウサギ!!
小さい子を中心に人気を得ている、パンツを頭に被ったウサギが世界を旅する幼児向けアニメ。
俺は中学校の時にそれに大ハマりし、お尻にパンウサが付いているパンツを買った…。
そして今日は偶々これを…。
「キャーッ!!?」
俺は女子の様に叫んで、立ち上がる。そして荷物を持ってそこから逃げた。
そして学校内にあるトイレに入った。
こんな事バレたくなかった…。
終わった、俺の高校生活は灰色だ…。
俺は着替えている途中で涙が出てきた。
…こんなの酷いぜ、神様。
何故神様はこんな試練を俺に課すんだ。
俺は着替え終わると、何分かトイレの個室で黄昏れた。
◇
「キャーッ」
私はそこで思わず顔を手で覆い隠した。
何でこんな時間に人が!?
ていうか何でその格好!!?
私は指の隙間からその人の様子を見る。
その男は白い液体を素早く塗りたくり、私の前を通り過ぎてサッカー部の部室の方に走って行く。
こ、怖い!! な、何なのあの人!?
私はその男の様子をまだ伺う。
私の近くから、少し遠くなったとしても油断はできないよね。そうやって見ていると、
あ、転んだ。
何か足元も覚束なかったみたいだし。お酒を飲んでたとか?それとも疲れてたのかな?
その男が転んだところで私の視線は下へと向く。
「…パンウサ?」
男のパンツのお尻の部分には、私の大好きなパンツウサギが大きく描かれていた。
パ、パンツウサギって基本女の子に人気があるから男の人のパンツって中々無いのに!!
ってあれ? この人…
「キャーッ!!?」
私は、パンウサを見つけ少し落ち着いた。
そして、その人の顔を見ていると、男の子は女の子みたいな声を上げて、サッカー部のカバンを持って去って行った。
あの人…変態だったんだ!!
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