第4話 美人なお姉さん

「ほうほう。君はサッカーを上手くなりたくて? 髪を切る時間さえも勿体ないと?」

 チャラいお兄さんと店の裏側で話をする。

 チャラいお兄さんの顔は、見た目が良いお陰かとてつもない威圧感を感じさせている。


 だが、ここで引いたらダメだ!! 俺はあの記者さんに早く会う為に練習するんだ!!

 俺は負けじと、顔を凄ませて見る。


「…ふっ、別に怒ってる訳じゃないさ。君は早くサッカーを上手くなりたいって事だよな?」

 チャラいお兄さんの顔が綻ぶ。


 なんだ? いきなり優しいイケメンに…。


「は、はい。」

「なら、お兄さんに任せな!! そうだな…3日後にまたこの時間ぐらいに来てくれるか?」

 チャラいお兄さんは胸をドンッと叩く。


 その日に何があるって言うんだ?

 隼人は心の中でチャラいお兄さんを疑いながらも、それを承諾し店を出る。




「って! もう真っ暗じゃん!!」

 そこは田舎と違い、電灯で明るく彩られていた。

 隼人はスマホを出し、時間を確認する。


「20時…。もう電車ない…」

 俺はチャラいお兄さんのお店の前で途方に暮れ、体育座りをかます。


 ふっ…体育座りくらい慣れてるぜ。俺がどれだけグラウンドの横で座ってると思ってる。背筋をピンと伸ばし、顎は引く。


 完璧だな。

 1人でうんうんと頷く。




 その数分後、お店から1人の女性が出てくる。


「おぉ…」

 思わず声が出てしまう程に、その女の人は美しかった。切長の目、筋が通った鼻、しかも八頭身ときた。


 ツカツカと前を向き歩いてく姿、その凛々しい雰囲気に隼人は一瞬見惚れてしまう。


「…ッ!」

 その女性が体育座りをしている俺と目が合った瞬間、目を見開く。


 って、何を見てんだ俺は!! 俺にはあの記者さんが!!

 ぶんぶんと頭を振りながら、煩悩を捨てる。


「君…ちょっといい?」

「は…はひっ!?!」

 煩悩を捨ててる途中の突然の声かけ、俺の心臓は跳ね上がる。


「あ、ごめんなさい。いきなり話しかけて…」

「い、いえ! 大丈夫です!!」

 勢いよく立ち上がると、女の人の顔が俺の数センチ前まで近づく。


「うーん…」

 女の人は、俺と鼻がくっつく距離まで顔を近づける。


「あ、あのっ!!?」

 俺は声を裏返させる。


「君…あっ…」

 隼人は美人と話すのが初めての上に、顔を近づけられた。しかもその人の服装は…


 胸がとても開いているワンピースだった。




 はっきり言う。持った方だろう。


 隼人はそこで鼻血を出しながら、後ろに倒れた。

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