第15話 やるだけが練習じゃない!

「な、何だったんだ…」

 俺は今、外にある非常階段で震えていた。


 あんな人初めて見た。お、俺の匂いを…!

 …まぁいいか。逃げる事は出来たんだし。れ、練習をしよう。

 俺は動揺しながらも、階段下でリフティングを始める。


 とりあえず朝練の時間までリフティングをしてよう。


 俺は何十分もリフティングをし続けた。






「そろそろ朝練の時間か」

 俺はボールをカバンに仕舞い、部室へと向かった。


「あの、女の子は…いない…な」

 俺は部室の周りを警戒しながら進む。


 そして、安心して部室へと入る。


「おはようございます」

 挨拶して入ると、そこには先輩達が揃っていた。


「おはよう。風裂、今日は遅かったな」

「あ、はい。ちょっと色々ありまして…」

 俺は練習の準備を始める。いつも通り服を着替え、靴を履き替えようとする。


 うっ…このスパイクはあの女の子が嗅いでいた…いや、仕方ないか。

 俺はスパイクに履き替えて、練習の為グラウンドへ行く。




「おはようございます」

 俺はグラウンドにいる監督、先輩に挨拶をすると、今日も練習には参加させて貰えないみたいでボール磨き、スパイク磨きをしていた。


 こんなの…練習じゃない…! どうにか上手くなれる方法はないのか…!

 考えていると、俺はふと先輩達の練習風景を見る。


 そうか、別にやるだけが上手くなる方法ではない!!


 俺はそう思うと、作業を続けながら先輩達の練習風景を見てイメージする。


 先輩達はあそこにいるんだ…俺がその時飛び出してボールを貰えば、いや、無理か?


 俺は練習中、ずっとそんな事を考えていた。


 そして練習が終わり、部室に帰ろうとしていた時だった。


「待て…風裂」

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