第13話 でーと? なにそれ?

 で、でーと…って何を言ってるんだ?


「都合が良ければでいいんです。ダメですか?」

 女子は俺と目を合わせ、捨てられた子犬の様な目で見てくる。


 ぐっ…。

 ま、まぁ、ここでデートしとくのもいい経験かもな。デートに行った事なくてゴタゴタ、なんてカッコ悪くて幻滅されてしまう。

 それなら今の内に対策しとこう。


「い、いぃですよ?」

 声が裏返ったが、なんとか上手く言うことが出来た。


 俺は極力動揺を隠しながら言うと、女子は俺の手を握る。


「じゃあ! これ連絡先です! あ、私こっちの電車なんで! また会いましょう!」


 俺の中には折られた紙にラインのIDが書かれていた。


 …あとで登録しよ。

 俺は紙をポケットに入れ、電車に乗った。






 俺は、これから電車の中で立って登校することにした。立つ事で、脚の筋肉を少しでも筋肉をつける。それと同時に電車の揺れで体幹を鍛える。


 ふっ、ここまでは凡人の考えだ。

 俺はそれに加えてこれだ!!


 コロコロコロコロ


 あっ…と…。


 コロコロコロコロ


 ちょっと! 待って!!


 俺は早朝、誰もいない車両でサッカーボールを転がす。


「次は〜◯◯駅〜」


 お、もうそろそろ時間だな。

 俺はサッカーボールをカバンに入れ、電車を降りて、学校に向かった。






 ん? 部室が空いてる? この時間は誰も居ないはずだけど…?

 俺がドアを少し開けて、中の様子を見てみる。



「はぁ…はぁ…隼人〜良い匂いだよ〜!」


 …いやいやいや、待って。


 そこには俺のロッカーの前で、スパイクの匂いを嗅いでいる変態がいた。

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