第32話 俺のバカッ!!
「あ、え〜と…私の事覚えてますかね?」
「はっ…!」
や、やばいっ!? 突然過ぎてた、対応が…
「ははっ、忘れてますよね。私、この前の大会で貴方にインタビューした、清水と言います」
わ、忘れる訳!!
清水さんは懐から名刺を取り出して、俺に手渡してくる。
「清水…鈴蘭さん…」
「はい! 今日は風裂君の取材に来たんですよ!」
清水さんは笑顔で言う。
お、俺の取材!? 嘘だろ!? い、いや此処で動揺を見せるな。冷静に、謙虚な態度で対処するんだ…。
「俺の取材をしてもどうしようもないと思いますけど…」
「そんな事ないですよ!!」
おぉっとぉ!? そんな凄い剣幕で迫らなくても大丈夫ですよ!?
貴方の顔はずっと見て…ゲフンッ!!
てか顔近い近い!! 俺が後数センチ顔を前に出すだけで…。
ゴクリッ
俺が頭の中でいやらしい妄想を膨らませている中、清水さんは話を続ける。
「風裂君の先程のプレー見てました!! 全てのプレーが洗練されていました!! あれ程の事が出来るのは高校生の中でも貴方だけですよ!!」
ど、どうしよう…此処は勇気を出すべきなのか…
後数センチ何だぞ!!
俺の悪魔が囁きかけてくる…!!
「是非!! 取材を!!」
清水さんの顔がもう1センチもない距離まで近づく。
あ…ダメ…
俺はあまりの清水さんの神々しさに、そのまま綺麗に鼻血を出しながら後ろに倒れた。
「えっ!? ちょっと!? 風裂君!?」
すぐ清水さんが俺の元へ駆け寄る。その距離は先程よりも遠い…。
この時の俺に一言…
何故前に倒れなかったんだ…!!
陰キャだった俺、女性記者さんに恋をしたので活躍する。でも何でだ? まだ何もしてないのに女の人がめちゃくちゃ話しかけてくるんだが。 ゆうらしあ @yuurasia
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