昔に、あの頃に戻れたらこんなことをするのになぁ、的な事は誰しも一度は考える事ではありますが。
本作の主人公の場合はそれが単なる「やりなおし」ではなく「このままだと悪魔の誘惑に負けますよ」「だから一日一善しなさい」と善人であることを半ば強制された人生のコンティニューである、という設定が非常に面白い設定の本作。
何が「偽善」で、何をすれば「善」になるのか。
それを色々と試行錯誤する主人公の序盤は、特に人間臭くて魅力的です。
またそのトライ&エラーの各話を見ているうちに物語が流れるように展開していく様は、読んでいてとてもストレスがありません。
また主人公の成長と共に使えるスキルなど能力も増えていくのですが、そこも異世界Web小説にありがちな「読書の邪魔になるほどの膨大な設定情報」が溢れることなく、本作ではスッキリまとまっているのも、読者的に嬉しいところです。
毎回毎回どうにかこうにか苦労しながらやっていく、ある意味打算的な主人公の「一日一善」の果てには、いったいどんな結末が待っているのか?そして彼はなぜ「やりなおす」ことになったのか?そのわけとは?
今でも時折読み返したくなる、カクヨムの異世界ファンタジーの良作の一つです。