第26話 フォークとナイフ
「これでよしっと…」
「…」
「あら? どうしたの? 黙っちゃって?」
「あの…これは?」
「柔軟よ? 何のスポーツでも身体が柔らかくないとダメよ」
俺はうつ伏せになり、肩を回されていた。
よ、よかった!! 俺はなんて事を考えていたんだ!! これからコーチになる人だぞ!
俺は叶野さんを疑ってしまっていた。
「だけど服は着て欲しいです!!」
「アァ、マタコンドネ」
カタコトになってますけど!?
「ふふっ、風裂君は何でサッカーをしてるの?」
叶野さんは話を変える様に俺の足を持ち、股関節を回す様に動かす。
「何でサッカーを…ですか?」
「えぇ」
い、言えない…モテる為に部活に入ったんですなんて。
「お、面白そうだったからですかね」
「ま、やり始める理由なんて人それぞれよね」
叶野さんは柔軟を続ける。
「はい、終了よ」
パンッ
叶野さんは俺の背中を叩く。
「あ、ありがとうございます」
俺は起き上がり、身体を動かしてみる。
「…凄い。大分動く」
「そうでしょ? 私、こう見えてプロのスポーツトレーナーなんだから」
叶野さんはそう言って胸を張る。それと同時に剥き出しになった胸が揺れる。
「叶野さん…服を着てください」
「あら? 貴方のそれは嫌だとは言ってないみたいだけど?」
俺はそう言われて、急いで隠す。
「ふふっ、これは私が施術をする時のポリシーなの。我慢して」
叶野さんはバスローブの様な物を羽織ると、すぐ側にあったソファに座り、足を組む。
「さて…じゃあ、そろそろご飯にしましょうか?」
叶野さんが手を2回叩くと、それと同時に部屋の扉から沢山の料理をカートに乗せた、メイド達が入ってくる。
カチャカチャ カチャ
テーブルの上に料理が置かれていく。
「す、凄い」
俺が圧倒されていると、
「安心して…これからスポーツを上手くなりたい人なんだから、栄養バランスはちゃんと考えられて作られているわ。ドンドン食べて」
叶野さんにすすめられ、俺はそのご飯に手をつける。
カチャカチャ
フォークとナイフが出てくるなんて…こんな料理初めてだよ。
1番近くにあった、ステーキを切って口まで運ぶ。
「っ!?」
「美味しいでしょ?」
叶野さんが聞いてくる。
いや、クソマズイんだけど!?!?
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