第27話 怖い…
う…なんだこれ…肉汁が溢れてきたと思ったら何かほんのりバナナの様な風味がするし。
は、吐きそうだ…。
俺があまりの不味さに口を手で覆っていると、
「美味しいでしょう? その肉はバナナプロテインを漬けるように頼んだのよ」
は? バナナプロテイン? 漬ける?
何を言ってるんだ、この人は…。
そう思ってメイド達の方を向くと、メイド達は一斉に顔を背ける。
あ、アンタらぁ!? 止めろよ!! 何を言いなりになってるんだよぉ!!
こんなの不味いに決まってるでしょうが!!
「ほらほら、ドンドン食べないとサッカー上手くならないよ」
叶野さんは次々と料理をすすめてくる。
「い、いや!」
「そんな遠慮しなくていいのよ」
俺が後ろへと後ずさると、叶野さんは料理の皿を持って迫ってくる。
「ほら、あーん」
あ、あーん!? まさかこれはカップル同士がやると言われる伝説の行為!?
正直に言えば、こんな綺麗な人からされるのは嬉しい!
でも…味が…。此処で食べたら吐く…
「あーん!」
ひ、ひぃっ!!
叶野さんが無理矢理に俺の口へと料理を近づける。
こ、ここは食べるしかないのか!?
叶野さんは俺の方をじっ…と見ている。
…覚悟を決めるか。
俺は口を開く。
「食べてくれるの?」
叶野さんが聞いてきて、それに俺が頷く。
「ふふっ! はい、あーん…」
パクッ
ふうぉぉぉぉぉ!?!
何だこの苦味と酸っぱ味は!?
「これはカフェオレ味とレモン味のプロテインを混ぜて漬けた物よ?」
…何を言ってるのか理解できない。
ぎゅるるるるる
は、腹が…。
バタッ
「あら? また気絶しちゃったの? じゃあこの前調べたこの子の家の前に置いといて」
叶野さんは微かにそんな事を言っていた様な気がする。
この人…どんな権力があるんだよ…。
俺はそこで完全に意識を失った。
「ふふっ、たまらないわ」
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