30、後日談

・4号車:ラウンジ車

□=□=□=□=■=□=□=□=□


GM:翌日です。ラウンジ車に呼び出された皆さんに、ヴァンさんが改めて今回の活躍についてお礼を言います。「やぁ、この度の皆さんのご活躍のお陰で大事にならずに済みました。本当にありがとうございました!」

シャルリーヌ:その後、何か私の推理を裏付けるようなものは見つかりませんでしたか? 例えば指令書とか?

GM:えぇ、見つかりましたよ。暗号化されていたので解読に手間取りましたが、シャルリーヌさんの推理通り今回のことはアルボルシニアが、蛮族列車強盗団と共謀して行った事がことがわかりました。

シャルリーヌ:……やはり。

GM:補足とするとアルボルシニアの目的はあくまで魔動列車の破壊にあり、貨車の積み荷は要らないので報酬代わりに蛮族列車強盗団に渡すという契約だったみたいです。なので、皆さんが8号車に固まってくれたのでちょうど良いやってオーガごと切り離したんでしょう。

シャルリーヌ:我々が機会を与えてしまったのか。

リナリア:オーガと一緒にいたら、まだ勝てるチャンスあったかも知れないのに、バカな奴。

GM:まさか直ぐに飛び移ってくるとは思わなかったんでしょう。車両を切り離したところで約束は守った気になって油断していたのかも知れません。

トーニャ:なるほどね。あ、クリスティさんを殺したのはなぜ?

シャルリーヌ:それはやはり神官だったのが原因でしょう。車内で一番レベルが高そうでしたし。

リナリア:リスクを取り除いたのか。

GM/ヴァン:あと、アーサーさんから、シャルリーヌ様に伝えてほしいと言われたことなのですが。

シャルリーヌ:何ですの?

GM/ヴァン:彼は、次の駅で降りることにしたそうです。可能であれば高レベルの操霊術師を探してクリスティさんの蘇生を試みたいと。

リナリア:神官だから蘇生を拒否するかも知れないよ?

GM/ヴァン:それはご承知の様ですが、やはり諦めきれないのでしょう。ただ彼は、シャルリーヌ様をマカジャハット王国まで護衛する約束をしていたので、それができなくなって申し訳ない、と。

シャルリーヌ:そうでしたわ。しかし、クリスティさんも亡くなってしまったのでやむを得ないですわね。マカジャハット王国までは一人で行くことにしますか……。

GM/ヴァン:今回のことで三人は冒険者パーティを組んだりはしないですかな?

トーニャ:うーん、どうだろう? 私は、冒険者として仕事をするのはこれが最後になる気もする……(苦笑)。

リナリア:私は元々一人だから、パーティを組むとかはまだ考えないかな。

シャルリーヌ:無理をしてパーティを組んでとは言えませんわね。

GM:あらら。では、シャルリーヌがマカジャハット王国に行くという話を、どこからか聞きつけた二人組がやって来ます。

リナリア:ああ、彼らね。

GM:そう、バーナビーとリリアンですね。「君も、マカジャハットに行くの?」「だったら私たちと一緒に行かない?」と彼らは言ってきますよ。

シャルリーヌ:あらあら、急に賑やかになりましたわね(微笑)。

リナリア:む……、それなら私も同行しようかな。トーニャさんも行先をユーシズ魔導公国に変えて付いていかない?

トーニャ:魔導公国?

GM:ブルライト地方にある魔法の研究が盛んな国ですね。そこで魔動機術の研究をするのも面白いかもしれないですよ。

トーニャ:うーん、確かに面白そうですが。とりあえずラージャハ帝国の鉄道ギルドの様子を見てから決めても良いですか?

シャルリーヌ:ま、多少の寄り道なら、私は構わないですわ。

リナリア:どの道、私はお姉様を探してブルライト地方のあちこち行くつもりなんで、ユーシズに行くならそこにも付いて行きますよ?

トーニャ:じゃ、そうなったらお願いします。


GM:あ、そのお姉様なんですが「あなた強いわね」ってリナリアに声を掛けてくる人がいますけど。

リナリア:誰ですか?

GM:ウェイトレスをしていたエルフのサラさんです。実は、彼女がリナリアの憧れのお姉様だったというオチが――。

リナリア:却下です!

GM:あれれ?(苦笑)

リナリア:お姉様が、こんなところでウェイトレスをしているはずがないんです!

シャルリーヌ:……これは憧れが強すぎて、だいぶ神格化されている?(苦笑)

トーニャ:ま、向こうもリナリアさんの事には気づいていないんじゃないですか?

GM:まぁ、その可能性もありますか。助けられた時は一瞬しか会っていないんだもんね?

リナリア:というか、ここでお姉様に会ってしまうと私の旅が終わってしまうんですよGM!

リナリア以外:(爆笑)

GM:な、なるほど。では、今はお互いに気が付かないままでいましょうか。

リナリア:私のお姉様は、もっと気高く強い方なんです!

シャルリーヌ:これは相当厄介なストーカーですわね(苦笑)。

トーニャ:うん、面倒くさいね(苦笑)。

リナリア:しょうがないんですよ。リナリアの花言葉を知らないんですか?

トーニャ:花言葉があるんですか?

リナリア:「この恋に気づいて」「幻想」です。

リナリア以外:(笑)

GM:なるほどね。それではオチもついたようなので。今回のセッションはここまでにしましょう。お疲れさまでした!

PC全員:お疲れさまでした!


 こうして南方国際鉄道は、再び、ラージャハ帝国を目指して白煙をなびかせ、緑の荒野を突き進んで行く――。

 これがPC達にとって人生一度きりの鉄道の旅なるかもしれないが、少なくとも人生一度きりの冒険となるのかどうかは、まだわからない……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る