1-15 解決、初依頼

 討伐したビパルクから粗悪な魔導部品(100G、黒白A)を剥ぎ取り、一息つく一行。セレンにHPを回復してもらい、いったん遺跡を出ることになった。



GM:さて、もはやこの遺跡に用はない。パリスを連れて外へ向かおう。


ゴッドフリード:だな、ゆっくり連れて行こう。介抱できる場所ってなると、設備を考えたら上まで上がるのが最善だろうなぁ。


GM:そうだね。その前にソルベ、例の部屋で発見物表を振っていいよ。


ソルベ:りょ~かい。(ころころ)5。


GM:鉄。


ソルベ:はい。


GM:そんな残念そうな顔しないで……。


キッカ:「……これ、どうしましょうか?」目録を掲げる。


ミヒャエル:「ふむ、それは一応持って帰っておくべきであろうな」


ゴッドフリード:「そうだな。逃げた奴を追うなら必要かも知れねぇ」


ソルベ:「これで障害もなさそう、なのかな?」


ソルベ:というわけで連れて帰るのであった。運ぶのは任せたよ~。


ゴッドフリード:任せろ。どんぶらこ、どんぶらこ。


キッカ:どんぶらこ……?


GM:まあ番人を倒したということで、特に障害もなく外には出られる。


ソルベ:一つ下で会った彼に一言言ってから行こっか。


ゴッドフリード:だな。


GM:ふむふむ。彼の店は、下の第137支道区まで行けばすぐに見つかるよ。ガロック・ロアの万屋。


GM/ガロック:「おや、さっきの……うわっ、どうしたんだその子!?」


ゴッドフリード:「尋ね人さ。色々あってな」


ミヒャエル:「うむ、本当に色々あったのだ」


キッカ:「まだ"犯人"がわかっていないので、安心とはいえませんが」


GM/ガロック:「しかし、この前見た時よりかなり……もしかして上の支道区にずっと?」


ソルベ:「とりあえず目的達成したから生還報告くらいはしとこうかと。上に行って行方不明になった人が増えたなんて思われたくないし。なんなら一杯やる?」


ミヒャエル:「……報告するまでが依頼だよソルベくん。ギルドにね」


ソルベ:「仕事中に飲んじゃダメだと誰が決めた~!」


ロラン:「犯人も見つかってないしね、後にしようか……」


GM/ガロック:「あー……すぐにでも連れて行ってやるべきだと僕は思うね。客を手放すのは癪だけど、それより死にそうな人間をそのままにされる方が気になる」


ミヒャエル:「うむ、人としての最低限というやつだよこれは」


ソルベ:「ちょっと、帰らないとは言ってないでしょ~?」


キッカ:「はぁ……」


ソルベ:「仕事終わりの飲み会にゲスト誘っただけなのに……どうして……」


ゴッドフリード:「いや、流石にこの状況で誘うのは良くないだろ……」


ミヒャエル:「後にしたまえ後に」


GM/ガロック:「また何かあれば寄ってくれ、次は落ち着いた状況であることを願うよ」


ゴッドフリード:「あぁ、また逢おう」


GM:では、キミたちはグレートリフトに乗ってガザトオリコ中央区へ向かう。ひとまずパリスを介抱してもらうために〈星座の心臓〉まで戻る、でいいかな?


ロラン:いいんじゃないかなぁ。


GM:〈星座の心臓〉までたどり着くと、周りの冒険者たち――まあ、〈星座の心臓〉の冒険者だから警察官みたいなものだけど――が心配そうに近づいてくる。彼らが医務室まで運ぼうか、と提案してくれるよ。


ミヒャエル:ありがたい、任せよう。


GM:OK。パリスはギルドの冒険者たちに預けて、介抱してもらうことになった。いったん受付係に一通りの説明をしていると、キミたちのところにハンスベルがやってくるよ。


GM/ハンスベル:「やぁ。どうやら何事もなく解決したようで何よりだ」


キッカ:「大事にはならなかったとはいえ、何事もなかったわけではないのですが……」


GM/ハンスベル:「あぁ……しかし、誰も命を落としていないのだから、それ以上を求めるのは高望みだろう。特に、君たちは初依頼だと聞いたのでね」


ゴッドフリード:「ま、確かにな」


GM/ハンスベル:「さて、一通りの話は聞いている。それを踏まえて……いくつか提案したい事があるのだが、構わないだろうか?」


ソルベ:「提案?」


ミヒャエル:「ふむ、言ってみてくれたまえ」


GM/ハンスベル:「どれから話したものか……そうだな。最初は報酬の立て替え払いの相談からしよう。既に君たちがカーリーヴェリの冒険者ギルドに所属しているのは知っている。だが、同時に駆け出し冒険者の懐の寂しさも知っているつもりだ。私はね。報酬を手に入れるのは早いほうが良いだろう?」


ミヒャエル:「ハハハ……実に的を射すぎていて涙が出る提案であるな」


ソルベ:「全くもってその通りで」 所持金3G。


ロラン:「だねぇ、うちのギルドが怒らなければだけど」


GM/ハンスベル:「そこについては抜かりないとも。我々が今君たちに報酬を支払い、後程我々が君達のギルドを通して同額の報酬ぶんを補填する。なに、こういうことは稀にあるのだ。だからこそ、この方が我々としても都合がいいものでね。君たちは書類に一筆くれるだけでいい」


ゴッドフリード:(確かに、一歩間違えればガザトオリコの治安に影を落とす所だったワケだしな。〈星座の心臓〉としちゃあ、分かりやすく動いてる事を示さんワケにはいかん、か……)


ミヒャエル:「吾輩としては一向に構わないよ」


ゴッドフリード:「なるほどな……ま、俺も其処は構わねぇぜ。皆もそうだろ?」


キッカ:「確かに有難いですね。事件はこれで解決という訳ではありませんし」


ソルベ:「ウチのギルド的にどうかまでは知らないけど、まぁ大丈夫でしょたぶん」


GM/ハンスベル:「仕事で忙しくて観光などもあまり出来ていないだろう。そのドワーフの男とやらは我々が調査しておく。君たちは報酬の1000ガメルを持って、ガザトオリコを楽しんで貰えれば結構だ。無論、カーリーヴェリに戻って飲むのも構わないがね」


ミヒャエル:「本当にお気遣い痛み入るよ……」


キッカ:「えぇ、お気遣い感謝します……」


ゴッドフリード:「お? なら観光案内が必要か?」


ミヒャエル:「うむ、頼めるのならば頼みたいものだ」


GM/ハンスベル:「それと、パリス女史の件だが、しばらく我々が身柄を預かろう。幸い、部屋は余裕がある。万が一の時のための設備も抜かりない」


ソルベ:「そうだね。うちのギルドまで運ぶにしても、カーリーヴェリまでじゃ結構道程長いし」


ゴッドフリード:「あぁ、ホースにも乗れない状態じゃあな……」


ミヒャエル:「了解した。くれぐれもよろしく頼むよ」


GM/ハンスベル:「あとは……『目録』とやらを見せてもらいたい。その黒髪のドワーフの男が何を持ち去ったのか知る手掛かりになると考えられる。……しかし、無償でというわけにもいかないな。500ガメルで買い取ろう。少なくとも、それだけの価値はあるものだろうと我々は考えている」


ゴッドフリード:「ん……キッカ、いいか?」


ゴッドフリード:読めるのキッカくらいの筈だし、一応確認しておこう。


キッカ:「構いませんよ。調べてくれるならその方が有難いです」


ゴッドフリード:じゃあ売る。他の面々もいいよな?


ロラン:異議なし。


GM:よし、では『目録』と引き換えに500ガメルが報酬に追加される。


GM/ハンスベル:「最後に、その遺跡とやらの奥に埋没魔動機があると聞いた。それで、ものは相談なのだが……そこの発掘を他人に任せるつもりはないか?」


ゴッドフリード:「ん? 遺跡の発見者の権利は俺達に来るのか? となるとありがたい話だが……」


GM/ハンスベル:「なに、ガザトオリコの貧民の生活支援も兼ねての相談だよ。君達は冒険者であって遺跡発掘人ではないだろう。であれば、貧困で職につけていない者たちに作業を与えるには丁度いいというわけだ」


ミヒャエル:「ふむ、公共事業のようなものというわけだ。吾輩は構わないよ。魔動機文明は専門ではないのでね」


ロラン:「うん、確かに。そういうのは出来なくもないけど別に得意じゃないからね。よろしく頼むよ」


ソルベ:「それで、私達の取り分は?」


GM/ハンスベル:「あぁ、君たちにも取り分は当然与えるつもりだ。そうだな……作業した者たちと折半ということにしても構わないだろうか。手をこまねいているうちに盗掘者に盗まれてしまうよりは良いだろう?」


ゴッドフリード:「なるほど。無人区に見つかった遺跡となりゃ、運が良ければ入植も考えられるしな。俺もいいぜ、乗った」


GM/ハンスベル:「では、諸々の処理は任せて貰おう。実際にどうなるかは、後日を待たねばどうとも言えないのだがね」


ゴッドフリード:「いい結果を期待してるよ。で、その代わりと言っちゃなんだが……発掘関連で面白い事が起きたら情報を回して貰えるとありがたい」


キッカ:「そうですね……」生きていた時代が過去になっていくさまに思いを馳せつつ。


GM/ハンスベル:「あぁ。無論だとも」


ソルベ:「自分らでやれた方が美味しい可能性はあるけど……一番気になってるのはパリスちゃんの方じゃないかなぁ、それ」


ハンスベル:「……ふむ。パリス嬢が望むのであれば、もう少し落としどころが変わるかもしれないな。その件は回復し次第聞いてみることにしよう。では、仕事に戻らせてもらうよ。立て替え分の報酬は受付係経由で受け取ってくれたまえ」


GM:そう言い終えると、ハンスベルは奥へ下がっていく。まだ仕事が多く残っているのか、少し小走りだ。


ゴッドフリード:「忙しそうだな……」


ミヒャエル:「彼の仕事を減らすためにも、吾輩達も努力しなければね」


GM/セレン:「って言っても、私達はここの冒険者じゃないんだけどね」


キッカ:(穢れてるけど普通にいい人だ……何を考えているんだろう)


ミヒャエル:キッカくん……


ゴッドフリード:ステイ、ステイ。


GM:というわけで数日の間は、ガザトオリコで観光したり、カーリーヴェリに戻ったりして過ごすことになるだろう。少なくとも、懐はしばらくは安泰になりそうだ。


GM:というわけで、キミたちの初依頼は大成功に終わった。清算に入ろうか。


一同:はーい。

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