1-3 情報収集、ガザトオリコ(下荷受け場~グレートリフト)

 ――"地に近い星"ガザトオリコ。"サイレックオード復興の立役者"マルズ・ゴベリアリの手記に書かれた「すべては、ここから始まる」という文言で有名な、星々の中で最も大きなサイズと三万を超える人口を持つサイレックオードの中枢となる星である。

 その中央には"大主抗"と呼ばれる大穴が開いており、巨大な魔動機文明時代の昇降機――通称、グレートリフトが鎮座する。サイレックから登ってきた観光客は、このグレートリフトに乗って観光地の主たる街区――ガザトオリコ中央区を目指していくことになるのだ。


ゴッドフリード:というワケでガザトオリコ下部フライトデッキだな。


GM:タラップを降りると、キミたちはド派手な誘導路を通ってガザトオリコ観光案内所への道を進むことになる。他の場所へ行く道もなくはないが、他都市からの来訪者であるパリスがそちらへ行った可能性は万に一つもなさそうだ。


GM:さて。観光案内所に到着して聞き込み、してもいいししなくてもいい。


ゴッドフリード:する。当然。


ミヒャエル:うむ。


 先程と同様の技能で、聞き込み判定を行ってみる。達成値はミヒャエルが頭一つ抜けて15、次にゴッドフリードさんが13。ロランが11、ソルベが10ときて、なぜか妙に今日の出目が低いキッカが9。


ミヒャエル:流石に知力基準なら吾輩に分があるな、土地勘も人脈も無いのだが。


GM:喋りが上手いのかな、まあ上手そうだけどね。冗談も上手いし。


ゴッドフリード:地元民なのにちょっと負けてるな。


ミヒャエル:まあ色々なところを渡り歩いてきたのでね(自慢げ)。


ソルベ:ぐぬぬ、飲み友しかアテがない!


キッカ:人との繋がりの差……でしょうか。


ロラン:まぁ、こんなものだろうねぇ。


GM:キミたちが情報を集めると、「我々に心当たりはない、少なくともここで何かあった人物は記憶にないな」「まあ、おそらくグレートリフトに乗って上に昇ったんじゃないか?」「中央区には大きな冒険者ギルド支部があるからそこで聞くのが一番だろう」とかが聞ける。


ミヒャエル:「ふむ、やはり情報は冒険者ギルドか酒場と相場が決まっているな」


ゴッドフリード:「〈星座の心臓〉の事だな。あそこは実質的な軍みたいなモンだしなぁ」


キッカ:「軍、ですか。戦争をしているのですか?」


ゴッドフリード:「一応蛮族とにらみ合ってる最前線なんだぜ? 此処もよ」


ミヒャエル:「このご時世だ。どこでも蛮族や魔神と戦争しているようなものだろうて」


ソルベ:「蛮族の脅威のないとこなんてそうそう見つかるもんじゃないからね」


ロラン:「一応冷戦状態だからねぇ、ここ」


キッカ:「蛮族が地上に……」


ミヒャエル:「む、そうか、キッカくんは記憶が無いから、大破局のことも知らないのかね」


ゴッドフリード:「とはいえ、基本的には常備軍を持たない此処の領主さまに代わっての治安維持が作られた目的なのさ。あのギルドはな」


GM/セレン:「そう、言い換えれば警察組織みたいなものかな。冒険者ギルド、って印象で行くと驚くかもしれないね」


ゴッドフリード : 「そうそう。なんで、軍みたいなモンって言っても高圧的だったり強権振るったりする感じじゃあ無いんだがね」


キッカ:「軍も警察も兼ねているという事ですか?冒険者が……」


ソルベ:「ジェネレータが新品だった頃の話なら知らないけど、今時ねー」


GM/セレン : 「そう。特にガザトオリコは、ね」


ゴッドフリード:「此処の領主さまは代々、そういう強権振るうのが嫌いでなぁ」


ミヒャエル:「ふむ、民衆からすれば優しい領主というわけだ。確かに、生の声を聞けるのは良いものであるが……同じ政治家からは優柔不断などと揶揄されるのではないかな?」


ゴッドフリード:「警察機構だけじゃないぜ? 裁判、商業、物流……大抵のモンは領主さまから委託されたギルドの連中が取り仕切ってる。そいつらが実質的な官僚みてぇなもんさ」


ミヒャエル:「ふむ、なるほど」


キッカ:「……統治なんですかね、それ」


ロラン:「優柔不断、というよりかは放任主義というか……何考えてんだろうねぇ……あの人はさ」


ミヒャエル:「謎めいた人物でもあるわけだ。機会があれば話してみたいものだね」


ゴッドフリード:「実は其処等辺で結構遇えたりするらしいんだよな、コレが」


ソルベ:「ま、せーじの話は兎も角。そんなのはラガー呷りながら言うもんだよ」


ゴッドフリード:「それにしたって遊び歩いて作った子どもが……今十人くらいだっけ?」


GM/セレン:「……まあ、色々と事情があるのかもしれないね」


キッカ:「はぁ……」


ミヒャエル:「まぁ、政治の話はここらにしようではないか。キッカくん、リフトに乗りながら歴史の講義といこう」


キッカ:「……よろしくお願いします」


ミヒャエル:「うむ、素直な生徒は好かれるぞ。吾輩は捻くれていたせいで成績を1にされたことがあったからね。ワッハッハ!」


ソルベ:「はーい先生! お水と言ってウォッカ渡すのは犯罪ですかー?」


ゴッドフリード:「匂いでバレねぇかそれ?」


ミヒャエル:「人によっては殺人になるぞ、廊下に立ってなさい」


キッカ:「とはいえ、何分記憶がないもので私の知ってる時代がいつかもはっきりしないのですが……」


ゴッドフリード:「うんうん。俺も目覚めた当初は全然分かんなかったもんなー」 目覚めて八年くらいの人。


ソルベ:「あー、何回殺されたことあるのかなーとかあるよね。ないけど。……それにしてもこの感じだと、まぁ人の集まるとこに情報ありになりそうかな~」


GM:さて、グレートリフトに乗るなら無料で乗れるけど。どうする?


ロラン:乗ろうか。


ミヒャエル:うむ、先生が先導しよう。


ゴッドフリード:先生、サイレックオード来て数日も経ってないでしょうが。


GM:グレートリフトは、途中いくつかの停止場に停止しながら上へと向かっていく。といっても、中途の停止場ではほぼ人の乗降はないね。


ゴッドフリード:グレートリフトは荷の下ろしが下りだけで、上昇時はあんまり乗り降りが無いんだよな。


ミヒャエル:「ふふふ、こういう場所で立ち上がり、窓に張り付いて景色を見ていてもタビットは怒られづらいのだよ」実際にやってる


キッカ:「岩肌を景色と呼ぶなら、ですが」


ゴッドフリード : 「そもそもこのリフト、窓って感じの窓無いが?」


ミヒャエル : 「そのようだ、残念」 しょぼん。


ソルベ : 「たかいたかいしてあげましょうかお爺ちゃん」


ミヒャエル : 「吾輩、君より年下だぞ。後ほど是非頼みたい」


GM:そういえば10歳だったね、先生。


ミヒャエル : そんな一幕を挟みつつキッカくんに歴史の講義をしていよう。なに、時間はたっぷりあるのだからね。

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