1-5 情報収集、歴史博物館・宿屋

 ガザトオリコ中央区の中でもひときわ目立つ、大きな5階建ての建物――サイレックオード評議会議事堂兼歴史博物館。名の示す通り、ここには二つの役割がある。5階が評議会議事堂、それ以外が博物館とその保管庫だ。二階までは一般公開されており、それを目的とした観光客が毎日のように訪れている。


GM:さて、まずは歴史博物館だね。キミたちが望むなら、一般市民が入れる二階までで情報収集を行うことができる。


ソルベ:「博物館。流石に顔覚えてる人いるか怪しいと思うけど、なんか痕跡残してたりしてくれないものかな」


ミヒャエル:「手分けして聞き込みといこうか」


ゴッドフリード:「観光客も結構多いからなぁ此処」


 聞き込み判定。各々、先程同様得意分野で判定してみることに。


ゴッドフリード:ファイターで。(ころころ)13。


ミヒャエル:こちらは11。ふむ、まあまあといったところか。


キッカ:アルケミストで……11ですか。


ロラン:スカウト聞き込み。11。


ソルベ:ライダー……6!? 聞き込みへたくそか~?? お??


ゴッドフリード:屋内でライダー技能なんて使うから……。


ソルベ:ファイターに言われたくないなぁ~!


GM:OK、じゃあ観光客からは何も聞けない(おそらく、少なくともここ数日に限っては彼女はここに来ていない)けど、博物館職員から証言を得られた。


GM:「その似顔絵の方なら、2週間ほど前に見た記憶があります。特に魔法文明時代の展示に興味があったようで、食い入るように見ていらしたので印象に残っていますね」


ミヒャエル:「ほほう。魔法文明時代は我々魔術師にとっては魅力的な時代だからね、当然と言えよう」


キッカ:「魔法を貴族たちが独占していた時代……」


ロラン:「魔法王ラルが治めていた時代だねぇ、遺物は今でも多く残っているけど……」


ゴッドフリード:「確か……此処がレックオードってデカい島だった頃の話だっけか?」


ソルベ:「その中でも取り分けて、とかある?」


GM:「そうですね……すべて、一点一点、といった感じなので、どれというわけではありませんでした」


ゴッドフリード:「ふーん……」


GM:「あぁ、そういえば、館を出る時に別のドワーフの方……たしか、男性の方に声をかけられていましたね。内容はわかりませんけれど。確か、髪と髭は黒かったですね。ご同行の方には見えなかったので、意気投合したのかと思ったのですが。そのままお二人で出ていかれましたよ」


ゴッドフリード:「ドワーフの男性か……意気投合、ねぇ」


ミヒャエル:「ふぅむ、流石に誘拐犯と断じることは出来ないな。どこに向かったかなどの予想はつくかね?」


GM : 「残念ながら、出ていかれたところまでしか……」


キッカ:「そうですか……」


ソルベ:「とはいえ、登場人物が一人増えたのは収穫かな~」


ゴッドフリード:「そうだな。他の所でも色々探して見ようぜ」


GM/セレン:「他の場所でそのドワーフの男の情報も併せて聞きこんでみようか、有用な情報が得られるかもしれない」


ミヒャエル:「そうするとしよう。協力感謝するよ。いつかまた個人的に訪れると思うから、その時はよろしく頼むよ」


キッカ:「お手を煩わせて申し訳ありません」


ロラン:「博物館と美術館で声をかけてくる男にロクな奴はいないから、ちょっと心配だねぇ」


ゴッドフリード:「しかも観光客相手となるとなぁ……良いとこで詐欺だろ? 悪けりゃ……いや、コレは言わんとこ」


ミヒャエル:「怪しい宗教の勧誘に遭ったことは吾輩もあるな」


GM:それ二剣神の神官じゃない?


GM:「では、私は業務に戻りますので」ぺこり。


ゴッドフリード : 「ありがとうな」


ミヒャエル:「うむ、邪魔をして悪かったね」


キッカ:「次は大劇場……でしたか?」


ソルベ:「劇場……はあまり行きそうには思えないかなぁ。趣味から来る足跡として考えるとね~」


ミヒャエル:「個人的な趣味でもない限りはそうそう立ち寄らないであろうからな」


GM/セレン:「その男が本当に出会いを求めて話しかけたなら、そのままの足で連れ込む可能性もなくはないけど……まあ、想像の域は出ないかな」


ロラン:「そういうのについていくタイプではなさそうだけどねぇ……ま、可能性として無いではないか」


ゴッドフリード:「魔法文明時代のエピソード一点推しなら行ってただろうけど、魔法文明時代全般ってんじゃなあ」


ソルベ:「意気投合した男女が……と言えば聞こえがいいけど、博物館で魔法文明の展示物をまじまじ見て職員に覚えられるほどだからね。イメージが合致しない気がする。勿論、ないとまでは言わないけど、”その後”が肝要かな?」


キッカ:「では、宿でしょうか……宿、ですか。穢……ナイトメアの支部長の方が挙げてくださったのって普通の宿ですよね?」


ゴッドフリード:「観光客に教えるようなモンだからな。そりゃ連れ込み宿は書かんだろ」


GM/セレン:「確か、一般に配布している宿屋の一覧表だったはずだからね」


ミヒャエル:「まあ『そういった』宿も観光客向けといえば向けだろうが、流石に行政が配布しているものには載ってはいるまい。……最初の一文字は聞かなかったことにさせてもらうよキッカくん」


キッカ:「……」


ソルベ:「おやや~、香ばしい匂いかな? エール何杯イケそう?」


ロラン:「(おお、魔動機文明時代にはだいぶ薄まってた思想だと思ってたが、そうでもなかったかな?)」


ゴッドフリード:「(ま、トリネス辺りじゃ今でもナイトメアは腫物扱いだしなぁ)」


GM:では、宿に向かう?


ロラン:行こうか。


ミヒャエル:まあしらみつぶししてみるとするかね。


GM:そうだね、向かうならしらみつぶしになる。何か方針とかある?


ソルベ:「そうだね、虱潰ししても手間だし……怪しいコトに使われそうな物件、で探してみるべきかな」


ミヒャエル:「ハハハ、ソルベくんは詳しそうだね」


ソルベ:「嗅覚で避ける」


ロラン:「ああ、なんとくなくわかるよねぇ。そういうの」


GM:よし、じゃあ宿屋を当たっていこう。



 ガザトオリコの主要産業は観光業である。故に、その大量の観光客を受け入れるための数多くの宿屋が中央区には軒を連ねており、それらが〈星座の心臓〉のもとでリスト化されているのだ。観光案内所でもこのリストは一般に配布されており、初めてガザトオリコにやってきたような者でも安心して観光ができるようになっている。



GM:キミたちは、ハンスベルに貰った宿屋リストをもとに怪しそうな宿屋を当たっていく。すると幸いなことに、数件もいかないうちに彼女が泊まったという宿屋を見つけることができる。宿帳への記帳は、彼女が歴史博物館に現れたと聞いた日の前日だね。


ゴッドフリード:「うーん、俺はよく分からんから虱潰しに行くかなぁ」


ソルベ:「流石にゴクモーク以外じゃ、その星の人に敵わないだろうけどね~」ゴクモークがメインの飲み所。


ミヒャエル:「ふむ、前日となってしまうと例の男と会う前になるかな?」


GM:宿屋の主人に話を聞くなら、覚えがあるらしくいろいろ話してくれるよ。


キッカ:聞きます。


ソルベ:インタビュー!


GM:「パリス・ノスさん。あぁ、あの方ですか。覚えていますよ。何しろ、お泊りの後お帰りになっていないものですから。荷物も預かりっぱなしですし……時々ある話で、しばらくすれば帰ってくるかとも思ったのですが……」


ゴッドフリード:「……こりゃ悪い予感がアタリかな?」


ソルベ:「アウトだね」


ミヒャエル:「フム、どうやらそういうことらしい」


GM:「最初にお見かけしたときは一人でした。『来る途中も珍しいことだらけで』と終始笑顔でしたね。『明日も観光したい、どこがオススメ?』と聞かれたので、一般的に薦められる博物館と大劇場を挙げました。まあ、『観光所と同じだね』と言われてはしまいましたが……」


ゴッドフリード:「すまんが、俺等は彼女の捜索依頼を受けた冒険者なんだ。あとで荷物も見せてもらえるか?」


GM:「えぇ、〈星座の心臓〉にも話を通してあるそうですし、構いませんよ」


ミヒャエル:「見るのは女性陣に任せるがね」


GM:「その後は『翌日の予定がはっきりしない』とおっしゃったので、その日には一泊分だけのお代を頂きました。結局その翌日も夕方に帰っていらっしゃったので、もう一泊分いただいたのですが」


ソルベ:「そのパリスって人、博物館でなんか男に捕まったらしいんだよね……時に御主人、ここらでよろしくないドワーフが女連れ込みそうな場所ってある?」


GM:「ない、とは言えませんが……あまり聞きませんね。私がそういう類に疎いのもありますが……」


キッカ:「件のドワーフと会った日はいったん帰ってきたのでしょうか……?」


GM:「あぁ、そうです。二日目なのですが……確か、髪と髭の真っ黒なドワーフの方と一緒でした。もう一泊の代金と一緒に、酒場の個室が使いたいということでご案内しまして。えぇ、いかがわしいことに使われた痕跡はなかったですよ?」


GM:「お食事ですし、時折私どもも様子を見に伺いますので。酔いつぶれられていては困りますから。酒場での料金についてはどちらがどれだけ払ったかまではわからないのですが……」


GM:「そうですね、2~3時間だったと思います。その後はお連れの方がお帰りになると、一人でお部屋に入られました」


GM:「えぇ、お一人ということで用意したお部屋ですから、二人目を泊めるわけにはいきませんし」


GM:「その翌朝、パリスさんが早くに……かなり早い時間にご出発なさって。グレートリフトの時刻表を聞いて行ったので、そちらに向かいなさったのかと」


ゴッドフリード:「密談、からの失踪か……まぁ十中八九、かねぇ?」


ソルベ:「……荷、一応見ようか」


GM:荷物を漁るなら、主に着替えの類だけが残っていることがわかる。日用品や保存食の類は持ち出されているのか見つからないね。


キッカ:「変なものはないですね」


ミヒャエル:「そうか。では足取りを追うとするかね」


GM:「あぁ、もし数日こちらにいらっしゃることになって宿が必要なのであれば、うちにお泊りいただいても構いませんよ。えぇ、勿論お代は頂きますが……」


ソルベ:「営業お疲れ、生憎本拠はこっちじゃないからまた今度ね」

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